最後の一文を読み終わったとき、
俺はもう、息ができないほど泣いていた
結局、俺は最後まで別れの覚悟なんてできてなかった
溢れる涙は止まらず、
手紙を握ったまま、声も出せずに震えていた
いつの間にか戻ってきていた隆二が、
そっと俺の肩を抱き寄せてくれた
目を冷やしに、楽屋の鏡前に立つ
タオルで顔を押さえ、深く息を吸った
もう、戻らなきゃ....
あなたが望んでくれたから
俺が、生きて歌うことを望んでくれたから
それが、あなたの願いだから
ステージ袖に戻ると、 パフォーマーが順に戻ってきてた
NAOTOさんが小さく声をかける
メンバーが順に、俺と隆二を抱きしめてくれる
体温と、言葉にできない想いが、じわっと胸に染み込んだ
深呼吸を一つ
ステージの光が、目の前に広がる
1歩、足を踏み出す
隣には、隆二がいる
隆二の方を見ると
ニコッと微笑んで頷いたから俺も頷き返す
俺の歌を、俺の想いを——
あなたへ届けるために、
生きるよ
あなたが生きたかった人生を、俺が生きるから
俺の腕にあれから肌身離さずつけてるブレスレットが光っている
俺はブレスレットをそっと握りしめ、
スポットライトの中へ、
俺のいるべき場所へ、
ゆっくりと、歩き出したーー。
END.











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!