朝になって、あなたの容態は少し落ち着いた。
点滴で熱も少し下がり、
呼吸も落ち着いたけど、
もう言葉は出せなかった。
声が、枯れてしまっていた。
それでも、視線で「大丈夫」と伝えようとしてくる。
俺には、それが余計に痛かった。
「平気なふりなんかしなくていい」と、何度も何度も心で叫んだ。
そして、静かな夜。
暗くなった病室で、俺はずっとあなたに付き添っていた。
答えは返ってこないけれど、そのままそっと額に口づけをした
あなたの瞳に涙が浮かぶ
それは、苦しさのせいじゃない
俺の言葉が、少しだけ届いた証だと、信じたい
その夜、あなたは浅い眠りについた
俺は、手を離せずに、ずっとその横にいた
「……ありがとう。……ありがとうな……」
何度も心で繰り返しながら、あなたの呼吸の音を聞いていた
翌日から、あなたは日ごとに声を出すのも難しくなっていった
呼吸は浅く、食事もほとんど取れない
無理に食べさせれば嘔吐の恐れがあると、医師から静かに告げられた
俺は、その都度「わかりました」と答えたけれど――
心の中では叫んでいた
それでも、あなたはいつも弱々しい笑顔を見せてくれる
自分の命が削られていく実感を
きっと誰よりも感じているはずなのに、
一度も「苦しい」とは言わなかった











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。