第41話

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2025/06/03 11:00 更新
夜の病室はやっぱり静かで、

点滴の機械がわずかに規則的な音を立てていた


街の賑やかさはここまでは届かず、

まるで世界の外側にふたりだけ取り残されたような

そんな不思議な静けさだった。

あなた
ねぇ….おみ
登坂広臣
ん??
あなた
時間、へーき…?

と、ベッドに寝転んだあなたの声がかすかに響いた
登坂広臣
あなたこそ、起きてて大丈夫なの?
あなた
うん、今日は少しだけ楽だから….

彼女は薄手の毛布を肩にかけながら、

ゆっくりとベッドから起き上がろうとした

その動きにすぐさま気づいた俺は、すぐに傍に駆け寄って背中を支える
登坂広臣
無理すんなよ?💦

そんな俺をよそに

小さく「あのね…..」と声を絞り出した
あなた
夜、星…..みたいな…..

それを聞いた俺はすぐに立ち上がった
登坂広臣
…..よし。行こう、屋上に
あなた
え…..?いいの….?
登坂広臣
ちょっと看護師さんに聞いてくるから待ってて


廊下に出て、

いつも優しく接してくれる看護師さんに頭を下げた
登坂広臣
お願いです、短い時間でもいいので、あなたを屋上に連れていってあげたいんです。車椅子も俺が押すので…..

看護師さんは少し迷ったあと、

あなたのカルテを確認しながら静かに頷いてくれた


“今日はあなたちゃん調子も良さそうだったし、…..気をつけてあげて、時間は短くね?”
登坂広臣
ありがとうございます!

病室に戻ると、
あなたに優しく微笑んで、行けることを伝えた

あなたの目がパッと明るくなった。

おみはそっと彼女を抱きかかえるようにして車椅子へ乗せ、毛布をかけた

上着もしっかり着せて、マフラーも巻き、防寒対策はバッチリ!


そしてナースステーションに一礼しながら、

ゆっくりと廊下を進んでいく

看護師さんたちはみんな優しい笑みを向けてくれた



エレベーターが静かに上昇し、

屋上階で扉が開いた瞬間、

冷たい夜風がふたりを包み込んだ

病棟の屋上には、誰もいなかった

遠くのビルが瞬いているその上に、満点の星空が広がっていた



俺は車椅子を屋上の柵の近くまで運び、

自分もその横にしゃがんで、彼女の顔を見上げた。
登坂広臣
どう?寒くない?
あなた
うん…..すごく、きれい….

あなたはかすかに微笑んで空を見上げていた

その頬に風が触れ、薄く色を戻していた

あなた
……昔、一緒に星見に行こうって言ったの覚えてる?
登坂広臣
うん。俺、叶えられてよかったよ
あなた
ありがとう、おみ……

しばらくふたりは、黙って空を見つめた

風の音だけが響く

やがて、あなたが小さく囁いた

あなた
ねえ、おみ。流れ星、見えるかな….
登坂広臣
見えたら、願いごとする?
あなた
もう決まってるよ☺️
登坂広臣
俺も….

あなたが俺の手をぎゅっと握る

少し冷たいその手を、俺は両手で包み込んだ
登坂広臣
俺は……願いが叶うなら、何年でも何十年でも、あなたといっしょに生きたい。
毎日、こうして隣にいて、笑って、
ケンカして、仲直りして、ずっと……

その言葉の途中で、声が震えた

堪えていた涙が頬をつたう
登坂広臣
……おれ、ほんとは怖いんだ
登坂広臣
朝起きて、あなたがいない世界にひとりになるのが.....

あなたは黙って俺の手を握りしめたまま、涙をこぼした。
あなた
私ね、おみがいてくれたから、死ぬのが怖くないよ。たとえこの先が短くても、今こうして笑えてるから、一緒にいられるから、幸せだったなって思えるの

彼女の頬をなでる風が、まるで静かに慰めるようだった
あなた
だいじょうぶ….

あなた
今日一緒に星を見たことも、イルミネーション見に行ったことも、今までのことも全部、忘れないでいてくれる?
登坂広臣
絶対に忘れない。何があっても、絶対


その夜、ふたりの影は屋上のタイルに寄り添うように伸び、星の下でゆっくりと重なっていた。


それは、時間が止まったような、静かで深い夜

それでも、紛れもなくそれはふたりだけの夜だった

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