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2020/04/16

第1話

 学友達がやれ志望動機だとか内定が取れないなどと東奔西走している、大学4年の夏。
現在も働かせてもらっている店にそのまま就職することが決まっていた稲葉光希(いなばみつき)は、それまでとなんら変わらぬのんびりとした日々をすごしていた。
 今日も3限の講義を終え、遊び相手もいないのでまっすぐ家路につく。大学からは電車で7駅。駅から徒歩20分。築40年のぼろアパートが、彼女の小さな城だ。たった一枚机に置かれた葉書はやけに白くて鴇色をしていて、殺風景な部屋のなかで異様に目に付いた。

【◯◯市立第五中学校 ✖︎✖︎期生同窓会】

そっと手に取り、悲しそうな目で見つめる。もう[出席]に丸はつけてある。
光希
明日、出しに行こう…
なにかを振り払うようにバイトへ向かう。
その日はなかなか寝付けなかった。
 翌日、駅へ向かう途中でポストに葉書を入れた。それはもう、なんの変哲もないただの葉書だった。
 中学卒業から7年。進学した高校・大学に同じ中学の人はいなかった。中性的な顔立ちや性格のおかげで男女を問わず友達は多かったが、卒業後に交流があったのは幼馴染みの佑月(ゆずき)だけ。光希自身が避けていたせいもあった。
 冬が目前に迫った頃。都内の某ホテルに懐かしい顔ぶれが集まる。光希には今日で終わらせようと決めていることがあった。たくさんの人と言葉を交わしながら会場をさがす。ずっと伝えたかった。いや、伝えなければならなかった。この恋を、終わらせるために。
_ガチャッ
夕陽
ごめん遅れたっ
佑月
もぉ遅いよ〜!
光希
…みつけた
夕陽
えっ?あー!光希だぁ!!
光希
久しぶり。相変わらずだねぇ
夕陽
そうかなぁ…ちょっとは成長してるよ!
 光希の目はとても優しかった。表情もやわらかくて、まるで夕陽が愛おしくて仕方がないと言っているようだった。中学時代とまったく変わらない態度をみせる光希を見て、佑月は安心していた。口には出さないものの卒業以来光希が同級生との交流を絶ったことに気づいていた。気づいていながらなにも出来なかった。何もしなかった自分が嫌だった。だから同窓会の便りを光希に送った。自分のために。そう考えてしまう自分がまた嫌になるが、光希の笑顔で救われた気分になった。今日を楽しもう。今度こそ、光希のために。この場所を暗くしちゃいけない。佑月は、嬉しそうに話す光希を見ながらそう決めた。
 一方光希は、心拍数がものすごい勢いで上がっていた。緊張のせいだけではない。相変わらずだと言ったものの7年ぶりに会った夕陽は、垂れ目やえくぼはそのままに、しっかりと成長していた。率直に言うと、色気があった。頭の中が夕陽でいっぱいになり、抱えていた想いがさらに膨れあがる。終わらせると決めているのだから、無理に抑える必要もないではないか。そう思ってしまうほどに。