それから
一度家に必要最低限の荷物を取りに帰り
半ば双子らに連行される形で寮へと向った
-寮-
寮につくと、そこには伶奈が待っていて
話はそれからや
そういって侑は伶奈を諭すと
寮の中へ入っていった
ふと何も知らないといった伶奈の言葉が気になり横に視線をやると
ちょうど私がここに来る事になった状態を作った本人と目が合い
なんだ…言ってなかったのか。
言えるわけ、ないよな…。
最低だな、私。
言えるのかな…。伶奈に。
今日あったことを
自分で…。
心配とかされるの、苦手何だけどな…
人の興味というものは、誤魔化したりはぐらかしたりしているうちに
薄れるもので。
今回もそうして誤魔化し続けていれば
気分屋の伶奈のことだ。途中で"察して"何も聞いてこなくなるだろうと考えていた
だがそんな計画もコイツにはバレていたらしく
面倒事は嫌いだ。特に人間関係は。
表では笑い合っていても、
裏では陰口を叩いたり陥れ合ったりしている
友達なんて、人間関係なんて所詮そんな物だ
自分が相手の事を大切だと、特別だと思っていても
相手にとってはそんな事はなくむしろ迷惑な事であったりする
だから私は、他人との間に一線引くようにしていた
他人に無駄に期待してしまわない様に
いつ切り捨てられても傷付かない様に…
けど本当はやっぱり寂しくて
こんな自分を誰かに認めて欲しい、求めて欲しいだけで。
"誰かに期待する"事は無くとも、他人にとって良い人を演じて"期待させる"ようなことはして
そんな最低な自分に嫌気が差し、本当の自分は何なのか。何が本心なのか。何も分からなくなり
気付けば自分では壊せないほど頑丈で高い壁が出来上がっていた
けどそんな頑丈な壁も
ここに来てから、倫達と再会して
双子と、心配してくれる仲間と出会って
何度も正面からぶつかって来られたことで
そのどれもが今までにない経験ばかりで
今までに感じたことのない、感情ばかりで
壁が壊されていくのは、怖い反面
本当は少し嬉しかったのかもしれない
たとえ、今回のことで何かが変わったとしても
もう。十分だ。
"本当に信頼できる友達は、片手で数えられる程度で良い"
もう。こいつらとの間の壁なんかとっくになかったのかもしれない…
前を歩く三人を眺めながら
話すとしたら、どのタイミングで話すか..
などと考えているうちに、目的地についたらしく
味噌カツ定食…
ピッピッ
私が質問に答えると、前にいた侑が味噌カツ定食の食券を当然のように2枚買っていた
流石に少し驚いたため、若干引き気味でそう尋ねた
丼ならまだしも、定食2人前って…流石運動部
自分も平均女子と比べたら食べる方ではあるが、侑程ではないと思い
運動部男子の胃袋に関心していると、当の本人が耳を赤くしながら慌てて訂正してきた
そういって侑はこちらに食券を突き出してきた
なんだ、同じだからついでに買ってくれたのか
震えてる…?
侑にそう言われて初めて私は、話しているとき自分が震えていた事に気づいた
それから食事を済ませ、男女は別棟であるため倫たちとは分かれ
荷物を起きに伶奈の部屋へ行き
そのまま私の希望で大浴場へと向うことになった
-大浴場 脱衣場-
(なまえ:奈央)とお風呂とかいつぶりだ〜?
伶奈はそんな事を言いながら準備をしていた
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
あぁ汚らわしい…
ボタンに手を掛けシャツを脱ごうとすると
ふとアレは現実だったのと主張するかのように
触れられた身体の箇所に気持ち悪い感覚が蘇り
鳥肌が立った
そう言われ、”それ“といわれた所を鏡でみると
そこには誰かに噛まれたような跡があった
汚らわしい…忘れるなとでも言っているかのような
そう私が自嘲気味に笑い
涙が流れないよう上を向いて堪えていると
ちゃんと、話すって
決めたのにな…
ちゃんと誰かと向き合うことって
誤魔化さないで伝える事って
こんなに恐ろしい事だったか…?
ギュ
私が今日あったことを一言で伝えようとすると
その言葉を言うのを止めるかのように伶奈が私を抱き締めた
どこの誰かも知らない輩に抱かれた自分のことを
『汚らわしいとは思わないのか?』
話すことで少なからず抱かれるであろうと、感じていたそれは
聞けるわけがなかった
聞いてしまったら、まるで伶奈の事を“そういう人間”だと思っていると言っているようで
そのあと私達は何年ぶりかに一緒に湯船に浸かり
部屋に戻ったあと私に気を使ってか
伶奈が珍しくゲームをしようと言い出したためギリギリまでゲームをして
明日も夏休み前最後の学校があるため寝ることにした
伶奈には『明日くらい休めば?』と言われたが
休むことで変に彼奴等に噂を広げられたり、
次に会った時の周りの人間への対応が面倒なのだ
-夜中-
『なぁ?気持ちええなぁ?(笑)』
ヤメロ…
『もっとええことしようや(笑)』
クルナ…
『なぁ______』
触るな…ッ!
時刻は夜中の2時半
私はフラッシュバックした映像とともに目が覚めてしまった
気持ちを整理したとしても
記憶だけはどうにもならないことを自覚している
どうせもう寝れないだろう
そう思い寝ることを諦め、ヘッドホンと貴重品だけを持って外の空気を吸いに行くことにした
-侑side-
あかん。こんな時間にトイレ行きたなるとか最悪や。
トイレに行く途中、夜中に一人外へと出ていく人影を見かけ
こんな時間に誰かと不思議に思いみていると、
その人物は、あれだけ今一人で居るなと言っていた馬鹿ゴリラで
-LIME-
ーーーーーーーーーー
タッタッタッタッタ
俺は偶々見かけた一人で外へ行こうとしているそいつにLIMEをして
急いでトイレへと向った
㌰㌰
ーーLIMEーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーLIMEーーーーーーーー
-侑side-
ジャー
㌰㌰
-LIMEーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
-LIMEーーーーー
📞プルルルルッ
それから俺は、通話は繋げたまま外にいる(なまえ:奈央)の元へと急いで向った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。