第19話

第15章 荒風
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2020/05/16 15:25
「迎えに来たぞー。」
『ありがとう桜夜。今行く。』
今日は退院の日。桜夜と一緒に屯所に戻ると、皆ドタバタしていた。
『ただいま戻りましたー!』

「2人共おかえり!帰って来て早々に悪いんだが、留守番していてくれ!」
「今から高杉ん所乗り込みに行くんでぃ。」
「怪我人と監視役で残ってくれ。」

あ、これは楽に抜け出せそうだぞ。
『分かりました、どうか気をつけて!』
「ちゃんと生きて帰ってこいよ。」
2人で皆を送り出すと、すぐ桂に連絡する。

どうやら準備は万端らしい。
「じゃあ、行くか。」
そうして私達も高杉の所に行く為、指定された場所へ向かった。

数十分後、私達は高杉を探しながら船を進んでいた。
「いやー、歓迎されてんなー。」
『ある意味ね。』
次々と敵をなぎ倒していくと

「久しぶりだな。来ると思っていたぜ。」
『高杉!?』
急に目の前に高杉が現れた。
「ヅラ達と一緒に来たみたいだな。」

「大人しく留守番とかごめんだしな。」
そう言うと高杉は小さく笑いながら
「でもよ、来るのが遅かったんじゃねぇか?」
と後ろを振り返る。そこには……

『!?土方さん、沖田さん!』
「お前まさか2人を……?!」
「いや、俺じゃねぇよ。これからひと暴れするにはちとデータが足りないらしくてな。」
『似蔵、あの野郎……!』

その言葉だけで全て分かった。
結構深傷を負ったらしく、出血が酷いことになっていた。
「こいつら助けたいなら鬼兵隊にこい。来ないなら……殺す。」

「紅桜相手にやりあっている銀時やヅラ達も助けてやってもいいぜ?目的はお前だからな。」
2人して黙り込む。チラリと横目で桜夜を見ると、小さく頷いた。

『……分かった。高杉について行く。』
そうしてついて行こうとすると、
「何勝手な真似してんでぃ。」
「こいつらは誰にも渡さねぇよ。」
2人が高杉の背に刀を向けていた。

「ほう、まだ動けたか。だが、そんな深傷を負ってんならろくに動けないだろ。」
『土方さん、沖田さん……!』
2人の足元には傷口から出た血が落ちていた。

「こいつらは俺達の大事な家族なんだよ。家族守る時くらい無茶するもんだろ……!」
『土方さん……。』
「こいつら居ないと、もう屯所が明るくならねぇんでい。そのくらい、かけがえのない存在なんでぃ……!」

「沖田……!」
「(○○)!桜夜!さっさと高杉とっ捕まえて帰るぞ!」
「お前達の……居るべき場所に!」
「「屯所に帰るぞ!!」」

気づけば、涙が落ちていた。
「(○○)、桜夜。お前達の本来の居るべき場所はここだった筈だ。こっちに戻ってこい!」

確かにそうだったかもしれない。でも!
『私の……私達の!』
「今居るべき場所は……!」
   ー真選組よ/だ!!

高杉に斬りかかりに行こうと2人で勢い良く刀を抜いた、その時。
突如ドーンッ! と激しい音を立てて、
船が揺れた。

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