静かだった屯所に、突如バズーカの音が鳴り響く。
『ぅえ!?何事?!』
あの後結局自室に戻り寝ていた私は、その音で飛び起きる。
「(○○)ちゃん!匿って!」
そう言って部屋に飛び込んできたのは山崎さんと他数名の隊士の人達。
『何があった……』
んですか と続けようとした私は、彼らの後ろにいる人を見て固まる。
「お前ら……何してんだ?」
声色と顔が恐ろしい事になっている土方さんが、刀を山崎さんに突き付ける。
ご愁傷様です そう思った私は、そこでハッとする。
『あー!!』
「ど、どうしたんだ(○○)?」
驚いている土方さんに私は質問をぶつける。
『土方さん!私の刀、どこにしたんですか!?』
私の愛刀はとある事情により、毎朝必ず手入れをしなければならないのだ。
え、手入れをサボったらどうなるかって?そんなの決まっている。
『色んな意味で死んでしまうー!』
やばい。真面目にやばい。
そもそも昨日もしていないのだ、その時点でちょっとやばい。
「あの刀、ここには無いぞ。」
……ふぇ?
え、ここには無いっていった?え?
戸惑う私に山崎さんは
「あの刀、刃こぼれがあったから、刀鍛冶に渡しておいてくれって万事屋に頼んだんだよ。」
と教えてくれた。私の知る限り万事屋はあそこしかない!
『すみません!昼間には戻ります!多分!』
それだけ言うと、私は屯所を飛び出して行った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。