私は万事屋に着くとすぐさまインターホンを鳴らす。
すると、見慣れない男の子が出てきた。
「えっと、どちら様ですか?」
『ちょっと銀時に用があるんだけど、いるかな?』
そう言うと男の子は少しビックリした様子で銀時を呼びに行った。
「はいはい、どちら様で……!?」
『久しぶりー。元気そうだね。』
予想通り固まっている銀時に声をかけてると、
「あ、あぁ。まあ、上がれよ。」
『じゃあ、お言葉に甘えて。』
万事屋に入るとさっきの男の子の他にもう1人女の子がいた。
「あれー、銀ちゃん誰アルかその人。」
『こんにちは。ちょっと銀時に用があってね。』
「というか、お前生きていたんだな。」
いや、失礼過ぎるでしょこの男。
どうやらそう思ったのは私だけではないらしく、2人も同じ様な事を言った。
『何で私死んだみたいになっているの?』
「いやだってお前、あん時怪我やばかったろ。」
『いや、銀時にだけは言われたくない。』
一回心臓止まりかけた奴が何を言っているんだか。
そんな会話をしていると男の子がお茶を持ってきてくれた。
『あ、ありがとう。』
お礼を言ってから一口頂く。
それから2人と自己紹介しだてら軽く雑談する。
「そう言えば、(○○)さんは銀さんに何の用があったんですか?」
『あ、そうだった。』
新八君に聞かれて当初の目的を思い出した。
『銀時、真選組から預かった刀ある?』
「あ、やっぱお前のだったか。あるぜ。」
いや、私の刀だと分かったなら生きている事も分かるでしょ!
と心の中で突っ込んでいると、神楽ちゃんから
「銀ちゃんとどういう関係アルか?ヅラみたいな感じアルか?」
と聞かれ少し驚いた。
『え、銀時この子達に昔の事話したんだ?』
私の刀を手に戻ってきた銀時に聞く。
「あぁ、だから(○○)も言って大丈夫だぞ。」
ほら、と刀を渡しながら言うけど、
『いや、分かんないだろうしいいや。』
と言ったけど神楽ちゃんは
「もしかしてヅラが言ってた[夜の桜姫]って(○○)の事アルか?」
いや、バレてるじゃん。
恨みをたっぷり込めた視線を銀時に向けると、
「いや、俺のせいじゃないからな!?」と言った。
はぁ とため息を吐くと、私は刀の鍔を弄りながら
『ちょっと昔話に付き合ってくれるかな?』
そう切り出して、私は自身の過去を語り出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!