今私達は広間に集まって小規模な会議をしている。
と言っても、人数も少ないし、ほぼ雑談の様なものだ。
「(○○)ー、お茶くれ。」
『近いし自分でやってよー。ついでに私の分も入れて。』
「じゃあいいわ。」
桜夜にお茶を入れさせる事に失敗した私は、山崎さんに頼もうとしてー
『あ、今観察中で居ないんだっけか?』
「確かそうですぜ。……ってあれ?もう帰って来てるんじゃ?」
「え、そうなのかトシ?」
「いや、俺も何も……。てっきり、(○○)に報告してんのかとばかり……」
和やかな空気が一瞬で違うものに変わる。
言ってはいけない気がして言わなかったが、色んな意味で嫌な予感がした。
その予感に現実味を帯びさせたのは、知らない番号からの電話だった。
『もしもし?』
<久しぶりだな、"桜姫">
その聞き覚えのある声を聞くなり、私は『場所と要求だけとっとと言いなさい。』
と一言いい放つ。
<まぁ、そのまま教えてもつまらないからな。××に居る仲間を捕まえて聞き出してみな。>
それだけ聞けば充分だった。
ブチリと電話を切るなり、皆に視線を向ける。
『すみません、少し行ってきます。取り調べの用意しておいて下さい。桜夜、行くよ。』
普段は出さない、その隠しきれ無かった殺気を出しながら、私は桜夜と××に向かった。
その後、私達が浪士を何人か連れて帰って来たのは、たったの30分後の事だった。
作者より
珍しく後半へ続くので、少し短いですがこの辺にします。それから、後数話で最終話を迎えます!
アンケートの方もまだまだ受け付けていますので、よろしくお願いします!
ではさようなら!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!