私の名前は 齋藤 楓。
恋愛経験ゼロの高校1年生。
中学の時から仲のいい友達と同じ高校に受験をして
今は電車で通学中。
凛『楓も高校生になったんだから恋しなよ!』
楓『誰も私を好きになってくれる人なんていないよ〜』
そんな会話をしていると校門の前で
集まっている女子がいた。
楓『何であんなに人が集まってるんだろう?』
凛『どうせイケメンとかでしょ』
凛『それよりもクラス同じか見に行こ!』
楓『うん!』
1-1
男子 | 女子
・ ・
・ 遠藤 凛
瀬戸 葵 ・
・ ・
・ 齋藤 楓
・ ・
・ ・
楓『同じクラスだ!』
凛『やったね!』
楓『うん!』
凛『じゃあ教室行こっか』
楓『席も凛と近くがいいな〜』
教室
楓『凛の後ろだ!』
楓『ん?』
楓『隣の葵くんって誰だろう?』
凛『もう少ししたら来るんじゃない?』
葵『君が楓ちゃん?』
楓『そうだよ』
葵『隣の席だからよろしく』
楓『よろしくね!』
そして私たちは平和に高校生活を楽しんでいた。
入学から1ヶ月たった時···
凛『ずっと葵くんは女子に人気だね』
楓『そうだね』
女子『葵くんは彼女とかいないの?』
葵『いるよ』
女子『誰なの?』
ポンッ
葵『こいつ』
楓『えっ?』
女子『楓ちゃんなの!?』
女子『楓ちゃんには勝てないわ〜』
楓『ちょっと···』
葵『放課後、待ってて』
楓『うん』
放課後
葵『急に彼女なんて言ってごめんね』
楓『大丈夫だよ』
葵『じゃあ俺の彼女になる?』
楓『えっ?』
楓『だって私は葵くんの事を好きって思ってないよ』
楓『それに恋愛なんてした事ないし···』
葵『俺が恋愛を教えてあげるっていうのはどう?』
楓『恋愛を教える?』
葵『そう』
葵『恋愛を教えるから、俺の彼女になる』
楓『好きじゃないのにいいの?』
葵『絶対好きにさせる』
楓『分かった』
そして私は葵くんの彼女になった。
葵くんの彼女になってから、まだ5日なのに···
葵『今日、デートしよ』
そう言われた。
葵『行きたい所とかある?』
楓『どこでもいいよ』
葵『じゃあ俺の家ね』
楓『分かった』
そして放課後。
葵『帰るぞ』
楓『うん!』
帰る時に葵くんは、さりげなく手を繋いでくれた。
でも何も会話はなく、葵くんの家に着いてしまった。
葵『入って』
楓『お邪魔します』
葵『飲み物とってくるから待ってて』
楓『うん』
そう言われて、葵くんの部屋に案内された。
そして少ししたら···
葵『お待たせ』
葵『飲み物置いておくね』
楓『ありがとう』
その後も沈黙が続いたと思った時に葵くんが突然···
葵『楓は俺の事好きになってくれた?』
楓『この気持ちが好きなのか分からない』
葵『どんな気持ちなの?』
楓『もっと葵くんと一緒にいたいって思う』
葵『そっか』
チュッ︎︎
葵『もう楓は俺の沼にハマってるよ』
楓『どういうこと?』
葵『まだ5日しか経ってないのに俺の事好きになってる』
楓『別に好きじゃないし!』
葵『じゃあ俺にキスされた時どう思った?』
楓『嬉しかった···』
葵『じゃあこれからは正式なカップルだな』
楓『恋愛教育は終わりってこと?』
葵『あと3つだけ』
楓『何?』
葵『楓からキスして』
楓『そんなの出来ないよ!』
葵『楓は俺の事好きなんだろ?』
楓『好きだけど···』
葵『じゃあ出来る』
チュッ︎︎
楓『キスしたよッ///』
葵『じゃあ次ね』
ドサッ
楓『えっ?』
葵『これから楽しませてもらうから』
楓『何するの?』
葵『暴れちゃダメだよ』
楓『別に暴れてないし!』
ガシッ
楓『これじゃあ身動きとれないよ···』
チュッ︎︎
楓『んっ』
葵『そんな顔して誘ってるの?』
楓『誘ってないし···』
葵『今日は帰らせないから』
でもあの日から口数も減って
デートにも行かなくなってしまった。
葵くんは部活で忙しくて
最近は一緒に帰ることもできていない。
そういえば恋愛教育の最後の1つって何だろう?
もう正式なカップルになったのに···
たまには自分から攻めてみようかな?
葵くんに怒られるかもしれないけど
部活の様子見に行ってみよ!
体育館
楓『バスケ部はどこだっけ?』
葵『何してるの?』
楓『葵くん!?』
楓『ごめん、先に帰るね!』
ガシッ
葵『部活見に来たなら、そこで座ってていいから』
楓『うん!』
今日は葵くんと一緒に帰れる!
葵『ほら帰るぞ』
楓『部活、お疲れ様!』
葵『ありがとう』
また会話が途切れてしまった。
何か話そうと考えていると···
葵『もう少しで高校卒業だな』
楓『そうだね』
葵『もう付き合って3年も経ったのか〜』
楓『でも高校卒業したらお別れだよ』
葵『まだお別れって決まったわけじゃないけど』
この日から前のように会話も増えた。
卒業の日が近づくにつれて、寂しくなってくる。
でも時間は止まってくれない。
そして卒業式当日になってしまった。
葵『楓』
楓『何?』
葵『最後の恋愛教育ね』
葵『もう別れよ』
楓『えっ?』
楓『そんなの嫌だよ···』
葵『ちゃんと俺の顔見て』
葵『俺の苗字、受けとってくれませんか?』
楓『えっ···』
楓『葵くん』
葵『何?』
ギュッ
楓『大好きな人の苗字、受けとるに決まってるでしょ!』
チュッ︎︎
葵『一生離さないから』
END
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。