第3話
KEYTALK 寺中友将
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窓から痛いほどの太陽の光
ここ最近は雨が多かったのに
今日は珍しく快晴
貴方が居るからかな、なんて
友将くんが来てから1時間弱
時計の針は3時を刺そうとしている
林檎持ってきたよ
剥いてあげようか?
って、お兄ちゃんじゃないんだから(笑)
友将くんは世話焼きだね、ずっと昔から
そう言えば、
友将くんが持ってくるものは
決まって真っ赤な艶々の林檎
これも、かな?
最悪のタイミングで
友将くんのスマホが鳴る
ったく、なんだよ〜
なんて頭を掻きながら部屋を出ていく
今日も、言えないのかな
もうそろそろ言わないとね
友将くんと居られるのも後ちょっとなんだし
自分の身体
高校の時から心臓が弱くて
入退院を繰り返していた
そんな私も、そろそろ時間みたい
先日の検査で余命宣告された
余命半年
私のお父さんは小学生の時に交通事故で死んでしまって
それからは女手1つで育ててくれた母も
つい先日、疲労で寝込んでしまった
それからは友将くんだけが私の病室に通ってくれて
忙しいはずなのに沢山笑わせてくれる
友将くんは幼馴染で
友将くんの方が3歳上
私が物心着いた時にはもうずっとそばに居てくれて
傍から見ればお兄ちゃんみたいな
そんな存在だった
でも、私からすれば
ずっと好きな人
昔から、お兄ちゃんとして見たことなんてない
現年齢の28年間
私はずっと友将くんに片想いをしてる
向こうは、
妹みたいに思ってるんだろうな
すきだよ、友将くん
涙が止まらなくて
嗚咽で言葉が詰まって
それでも、
私は好きですって伝えたくて
貴方が世界一好きだよって
私が死んでも忘れないでねって
友将くんの香りが私を包み込む
点滴の線が邪魔だな、
もっと力強く
離さないように
抱き返したいのに
私の力は弱すぎる
なんでそんなに優しくしてくれるんだろう
期待してもいい…、?
私が息絶えるその時まで
貴方と肩を寄せていたいから
離さないで、友将くん______