無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

前の話
一覧へ
次の話

第12話

KEYTALK 首藤義勝



「お疲れ様でした〜!!」



皆でグラスを合わせる
カチッと鳴る
白くてふわふわの泡が
溢れ滴る
今日のライブは大成功を収めた。多分。
お客さんの熱気は凄かったし
何よりレスポンスが凄かった(?)
まぁそんなこんなで打ち上げに来たわけで
洒落た居酒屋の掘りごたつ席に座っている
どんどんと酒は進み
皆潰れていく
かくいう俺も相当酔ってる



「あなた、酔った?」

『ん〜酔った』


肩に八木氏の頭が乗っかかってるこいつは
机の上のグラスを握り締めたまま
ゆらゆらと頭を揺らして
ゴールドっぽいアイシャドウのラメがはっきりと分かるぐらい
瞼が下りている
正直、可愛い
でも俺が手を出せないのには理由があって
それが八木氏だ。
もう付き合って1年半が経とうとしている
彼女は俺らの昔からのスタッフで
八木氏から告白してあなたがOKして
それからの打ち上げはずっと隣同士
なんならずっと腕組んでる
そんなの入る隙もない。
だから俺は、せめてもの足掻き
彼女の前を死守する



「八木氏とホテル戻ったら?」

『ん〜』


こいつもうほぼ寝てる
うつらうつらとした彼女でさえ愛しい
何かが切れそうで
耐えきれなくなって席を立とうとした


「まぁ、水とか飲んどけ」

『や』
『だ』

「おまっ、」


慌てて口を噤んだ。
彼女は、立とうとした足を絡めてきた
誰も見てない、掘りごたつの下
彼女の足は熱い
いや、俺の足が熱いのか?
そんなこと考えられないほど心臓が五月蝿い


『義勝はここじゃないとだめ』


そんな、うるうるした目で見るなやめろ
俺は偉い
耐えてんだ
だから頼む
邪魔しないでくれ


「…」


やめろ。
とは言えない
ただ俺が立つのをやめる
何処までも甘い
あなたが満足そうな顔で此方を見てる


「ほんと、さぁ…」

『ふふ、』


『ねぇ、優樹』

「んー?どしたぁあなた」

『ちょっと煙草吸ってくるね』

「んーはやくね」

『はいはい』


絡めてきた足を解いて
NIKEのスニーカーに足を突っ込む。と、
足早に店を出ていく

八木氏は寝てる

俺は無意識に彼女と同じ方向へ向かっていた




ガラガラと大きな音を立てて店の外を出る
冷たい冬の風と煙草の匂い



『来ると思った』


柔らかい笑顔で俺を迎え入れるあなた


「お前さぁ、バレるよほんと」

『バレたらどうしよっか、バンド辞めちゃう?(笑)』

「…八木氏のこと好きなんだろ」

『そりゃまぁ、彼氏なので』

「じゃあもうあんな事すんなよ」

『やだ』

「は?なんでだよ」






この質問には答えてくれなかった
いや、あれが答え。なら、どう言う意味なんだろう

喫煙所に残された
俺と煙草と口付け