〜 撮影 〜
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俺は一人で楽屋に帰った
スタッフさんには『腹痛が酷くて撮影に集中ができない』と嘘をついて家に帰らせてもらえるようにした
楽屋で廉と一度も目を合わさず帰る支度をした
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俺は紫耀を無視して楽屋を出た
帰り道の電車、人が少なく、少し落ち着いた
しばらく電車に揺られてると、一件のメッセージが届いた
廉『なんで帰ったん』
…、俺、…迷惑かけちゃった…
『ごめんなさい』
廉に返信をしてから一度も携帯を見ずに家へ着いた
真っ先に洗面所へ向かい笑顔を作った
…、酷い顔…
唇を強く噛み、涙を抑えた
なんで俺ってこんなにダメなんだろ、
上手く笑えない、思うようにできない、
結局泣くことしか出来ないじゃん、…
廉に電話をかけようとしたら、廉からのメッセージに気が付いた
廉『今家やろ?』
廉『今行くから待ってて』
俺は再び笑顔を作って廉がいつ来ても良いように準備をした
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上手く笑えてるかな、、、
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本当はみんなと話したい、…
仲良く撮影したい、
もう泣きそう、…無理してでも頑張んなきゃ、
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優しく全部頷きながら頭を撫でて最後まで聞こうとしてくれる廉が嬉しくて抱き締める力を強めた
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二人でぎゅうぎゅうに抱き合って、そのまま眠った
to be continued
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!