第85話

じんたんと俺
759
2018/07/16 01:14
今回のお話は、




くっっっっそ長いです。






それをご踏まえて読んでください。

ちゃんと文書読まないとわからないかも……





それとテオくん兄弟たくさんいる設定です。


そしてふたりとも子供です。


最後の方、じんたん目線テオくん目線ごっちゃになるかも…
頑張ってわかりやすくする!

じんたんの一人称は俺じゃなくてじんです。










ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー












今日、


俺が初めて溺れた。




生まれて初めての経験だ。






俺のおばあちゃんには自慢がある。



その自慢ってのが、

おばあちゃんひとりの力で魚屋をやって俺の兄弟全員を育ててひとりは大学まで行かせたってことだ。






ずんずんずんずん海の底へ沈んでいく。



でも俺は、

おばあちゃんの次の自慢にならなきゃいけない。




こんなとこで死んだら意味が無い。









海の底を歩く。






海の底は青くて深くて綺麗だ。


だけど大嫌い。





ホンソメワケベラもルリスズメも大嫌いだ。







ずんずんずんずん歩く。









海の上からはなんだかあったかい色をした光が降りてきている。





綺麗だ。








あの上には神様でも仏様でもいるんだなぁと思う。











だけど見えたのは神様でも仏様でもなかった。





ただの泳いでいるおばあちゃんたちだった。


遠くから見たら水着がゆらゆら揺れていてふとった金魚みたいだ。






これもまた綺麗だった。








海の泡たちはなんだかクラゲに見えてきて、

俺よりも先に岸にあがっていく。









海の色がだんだん紺色からあたたかい瑠璃色に変化していく。



これを見ると

「ああ、岸が近いな」って感じる。







岸に上がってみるとなんてことだ。

お母さんも妹も砂遊びをしていた。



俺が生死をさ迷っていたのに世界は何も変わってない。








ええと、









神様はどこだ?




















今日はじんたんと山登り。





俺が山を登ると同時に、

頭の中の小人も階段を上る。








そのことをじんたんに言ったら、


じんたん
それはたぶん頭痛だよ
休も?


と言った。





テオくん
ねえじんたん
じんたん
なに?
テオくん
山の中で休んでるとなんか…怖くなるよね
クジラの中にいたピノキオもこんな気持だったのかな?
じんたん
それは人それぞれだよ








そんな会話をした後、

喉が渇いたから水を飲んだ。







じんたんに隠れてチョコをこっそり食べた。





じんたん
あー!お弁当の前だったのにっ!


そう言ってポカポカと優しく叩かれた。









そしてまた登る。






暗い山が明るくなる。


冷たい風があったかくなる。







それでも山の匂いは変わらない。









すると向こうに誰かいた。

よく見てみると小豆洗いがいたので石を投げてやった。



そしたらそいつ逃げてったんだよ。








そしたらじんたんは、



じんたん
バチが当たっちゃうよ!


と言ってまたポカポカ叩いてきた。







そしてついにてっぺんについた。


ふたりでバンザイをした。





テオくん
すごいね、空がめっちゃ綺麗に見える
ねえじんた…


じんたんを見ると、


じんたんはずっとあっちこっちを見ていた。







そして



じんたん
今ね、好きな人が昼寝をしている姿が見えた





と言った。








誰?なんて聞けないからそのまま流してお弁当を食べた。




そのお弁当に入っていたパプリカを地面に投げたらまたじんたんはポカポカ叩いてきた。



























今日俺はなぜかみんなに責められた。


それが腹立たしい。






だからいつか復讐をするために練習をする。





テオくん
復讐練習するぞ!
じんたん
どんなふうに?





まずはお湯を沸かして………



アリの巣にたらす!!!!
テオくん
ざまぁみやがれ愚かなる愚民どもが!!!
じんたん
口が悪いね〜


次は虫を殺す。


ちょうちょにしよう。






ノートにノリを塗って、

捕まえたちょうちょの羽を貼り付ける。

乾いたら剥がす。




すると綺麗なりんぷんノートの出来上がり!!
テオくん
これは綺麗だから宝物にしよう
じんたん
賛成
.









テオくん
次はせみー!!
テオくん
くまぜみをたくさん竹の中に入れる

そして耳に当てる……





ぢーぢーぢぢぢぢーぢー!!!

テオくん
うっせ!うっせ!!




次はトンボ。

トンボの頭をもぎ取って万華鏡に入れる。




テオくん
うっわ!きっしょく悪!!
じんたん
きんもっっ!!




次ははんみょうを捕まえて………


テオくん
まてまて、
テオくん
…まって!
テオくん
まってよおお!!
.













テオくん
ちくしょぉぉ!はんみょうのバカー!
みんなのバカー!ばかばかばか!!!
テオくん
みんなバカなくせに俺ばっかバカみたいなこと言いやがって!
喧嘩だと勝てないからって口でばんばんばんばん!!
テオくん
俺が何したんだよ!
ばーか!ばーか!!!ばかばかばか!!!!
じんたん
……気が済んだ?
テオくん
ううん…

首を横に振った。





そしたらじんたんは俺の手を握った。




じんたん
大人になって好きな人が出来たら、この手を離すといいよ
じんたん
好きな人が笑ってくれるよ…



笑ながらそう言った。





















テオくん
ねえじんたん…俺わかんない…
じんたん
そうだよね、普通わかんないよ
テオくん
昨日から起こったことが全部全部わかんない
じんたん
そうだよね


ほんとにわからない。




なんで今俺がここにいるのか。

なんで俺は今黒い服を着ているのか。

なんで俺はわからないのか。





そしたらじんたんはなんかいつもより一回り小さくなっているように見えた。

テオくん
どうしたのじんたん?
じんたん
俺さ、困ると小さくなるの
じんたん
ねえ、手を握って


言われた通りにいつもより少し小さい手を握った。


小さいはずだけどいつものじんたんだって思った。

じんたん
大好きなものは何?
テオくん
んー…漫画とか?
じんたん
大嫌いなものは?
テオくん
海で…海で溺れることかな

あの時のことを思い出した。


余計に悲しくなった気がした。

じんたん
じゃあ今の気分は100回くらい海で溺れた感じ?
テオくん
うん、100海

ほんとに思考回路が回らなくて表現もおかしくなった。



じんたん
あのさ、
じんたん
世界には誰よりもはやく大人にならなきゃいけない子供っているの
テオくんもそのひとりなの
テオくん
世界には100海があるの?
じんたん
まあ、そんなとこ

またじんたんを困らせた気がした。





そしたらじんたんは『ここで待ってる』と言った。


それで俺はお父さんとの最後のお別れをしてきて、
たくさんの人たちの前であいさつをした。






世界中にある100海。


その海を歩いている子供たちはそれはそれで結構大丈夫なんだと思う。























じんたん
何探してるの?

またどこからかじんたんがやってきた。

テオくん
…おばあちゃんが隠したんだ
もしかしたら捨てられたかもしれないっ…
じんたん
まだ、探すの?
じんたん
外に出てみない?


外に出てみると風が吹いて髪をなびかせた。


涼しくて気持ちいい。



じんたん
ねえ、ずっと覚えててくれる?忘れない?
テオくん
…忘れるわけないよ

悲しそうな声で聞いてきたから、

不安になった。



いつか消えてしまうんじゃないかって。




じんたん
じゃあさ、いつになるかわからないけど…

じんたんは振り返らずに続けた。

じんたん
テオくんがシワだらけのおじいちゃんになった頃になるかもしれないけど
.















じんたん
必ず帰ってくるから…








" 忘れないでね、"







" 好きだと必ず帰ってこられるの "














誰かがそう言った。







そんな昔の話。


























じんたんがまた一回り小さくなっていた。



テオくん
またへこんでるの?
じんたん
うん…

そう言ったら最後じんたんはあっという間に小さくなって増えた。


なんだかアニメのキャラクターみたいで可愛い。


テオくん
そうだ!散歩しよ、歩くといいってじんたん言ってたし
じんたん
うん賛成



そして歩く。




テオくん
どう?

そしたらじんたんは増えていた。

じんたん
だめ〜!頑張って歩くと頑張って悲しいこと考えちゃう〜…
テオくん
ごめんごめん!じゃあチョコ食べよ?好きでしょ?

そしてひとりひとりにチョコをあげた。



頬張る姿が小さな子供みたいだった。

実際そうなんだけど。


テオくん
どう…?
じんたん
口の中で溶けてる間はいんだけど…

意外とわがままなじんたんだった。



テオくん
じゃあとにかく遊ぼ!!
じんたん
何して?
テオくん
何でも!いいから!!
じんたん
え、あっ、うん!!

そしてたくさんのじんたんと遊んだ。



気付くとじんたんはいつものサイズになってひとりになっていた。


じんたん
ねえ
テオくん
ん?
じんたん
じんのことどう思ってる?
テオくん
大好き

そう言ったらじんたんは顔を赤く染めて笑った。





じんたんはひとりで寂しかったのと、


お腹が空いてたのと、


大好きが欲しかっただけらしい。

















" でもね、いつまでもテオくんのそばにいられないの "






" 外でもっと友達を見つけて、"






" はやくゆっくり大人になってね "














また誰かが言った。




























今日もまた喧嘩をした。



なんであんなことしちゃったんだろうって後悔してる。

友達なのにって。






下を向いて歩いてたらこんな酷い顔を見られなくて済むし、



影と競走して歩くからはやく家に着く。








テオくん
じんたーん、どこー??
今日も喧嘩したー!慰めてくれー!!




じんたんがいないっっ!!!!













探すとじんたんは夕日に照らさてた海にいた。


そして空を見ていた。






横顔が悲しげに見えたのはきっと気のせい。



テオくん
なんでいないの?

少し怒った様子で言ってしまった。

俺の悪いとこ。


じんたん
大丈夫そうだったじゃん


それでも優しく言ってくれるじんたん。


じんたん
いつもは喧嘩しても後悔なんてしないじゃない
でも今日は友達のために泣いてた
それってすごいことだよ?


夕日が眩しい。










じんたん
テオくんはずいぶん大丈夫になっちゃったね…


そんな悲しい声で言わないで。


なんて言えたら。




じんたん
あのね、テオくんはね
じんたん
少し弱虫で強虫で意地悪で優しいの
それでかっこつけてる
テオくん
じんたんは俺のこと知ってるの?
じんたん
少しね



そしてじんたんは背を向けた。













じんたん
じんね、ここで会う約束をしてるんだ
テオくん
その人はまだ来ないの?
じんたん
じんが先に来ちゃったの、まだずっと先なんだ


なんて返したらいいのかわからない。


じんたんが背を向ける時は、

感情と表情がわからない。





ただただ切ない絵に見えた。



テオくん
…じゃあ先に帰るね
じんたん
うん



帰りの坂道。



じんたんがこっちを見てるのがなんとなくわかった。























俺はある日、


手紙を書いた。



過去の自分にあげるんだ。




それで今までにあった災難を回避する。



テオくん
まずはこいつだ…


石を投げてきた友達。


いくら友達だからってこれは許せない。







次に木の棒で殴ってきた友達。


こいつもやりすぎだ。







それとあのじじい…

あいつにチョップされたんだ。


めっちゃ痛かった。











それと俺の大好きなプラモ。



壊された。






それでも謝んないから絶交した。











そして最後。


クラスの女の子。




どうやら俺のことが好きらしい。







どうする?














手紙はじんたんに渡した。


テオくん
ほんとに届くの?
じんたん
大丈夫、任せて
テオくん
じゃあじんたんは未来にも行けるの?
じんたん
あっちこっち行けるよ
テオくん
じゃあ俺はどんなに大人になってる?


純粋に気になった。




結婚してるのかな?とか。


どんな仕事に就いてるのかな?とか。






じんたん
大丈夫、今のテオくんに似てるよ、とっても


そう言って消えた。





























テオくんは、


いつも朝8時きっかりに家を出るよね。






ほんとに偉いと思う。


遅刻しないし休まないしびっくりしちゃった。












あのね、



海の向こうで何百年も生きたシャラの木に花が咲いたよ。











ふもとの海にはイワシの子供。









岸にはクラゲ。














テオくんの後ろ姿が好き。


教えてあげなきゃね。
ほら、男子って好きじゃない。








夏が来たよ。



























じんたん
夏の日焼け、まだ残ってる
じんたん
外は寒いのに男子ってなんで日の匂いがするんだろうね
テオくん
ねえねえ!餅って何個食えると思うー?

俺は餅を口いっぱい詰め込んだ。






じんたん
あと、顔が少し変わったね
じんたん
夏がすぎると男子ってどこかひとつ大人になるんだよ


じんたんはしんみりと言った。



この雰囲気に慣れてなくて、

俺は約束のことを言った。





テオくん
これから友達とサッカーやるから
じゃあね!









じんだってわかってるよ。




そのくらい知ってる。








男子って急に走るのが速くなる。













あっという間にどこかに消えちゃうって。
























ある日じんたんとこたつで昼寝をした。





寝る時、

必ず変な記憶が蘇る。





ほんとにどうでもいいような、







出来事と景色。












じんたん
じんね、全部見てきたの
じんたん
あれは初めて外に出たテオくん


指を指した先には女の人にだっこされた小さな赤ちゃん。


きっと俺だ。


じんたん
眩しそう
.




じんたん
あれは初めて立ったテオくん
じんたん
すごく難しそう






" 走った、笑った、怒った、転んだ、泣いた "







じんたん
それとわからない悲しみ



じんたんはそのまま続けた。













じんたん
ねえテオくん、もうすぐで " 男子 " が終わっちゃうんだよ
じんたん
こっからはひとりで行ってね
.















じんたん
さよなら



消えそうなくらい小さな声でじんたんは言った。


























じんたん
卵を解いてちりめんじゃことネギを入れる
そして少しだけ醤油を入れて卵焼きにするの


ぱくっ


ふたり
うまっ!

今まで一番おいしいと感じたかもしれない。


それほどおいしかった。



じんたん
覚えててね、これは大丈夫の味なの
じんたん
これがあればおかずが無いって日も一人ご飯の時も大丈夫なの



そう言って俺の大好きな笑顔で笑った。











じんたん
さよなら















" じんは、テオくんの最後の恋人だったの "














" じんたち、とても短い恋をしたの "

































じんは、テオくんの最後の恋人だったの。








ただ、













あまりにも短い恋だったから。









じんたん
じんね、もう一度テオくんに会いに来たの


ざざーん




波の音が聞こえる。


潮の匂いがする。


じんたん
ありがとう
じんたん
じん、テオくんの子供の頃を見られて幸せだった

















あの日から時々だけど、



じんたんが今こっちを見てるなって思ったり、






通り過ぎたかな?って思うことがある。











18歳の時、大学で初めて隣になった女子がいた。




その子に初めて恋をした。













それからついにじんたんが見えなくなった。























" さよなら "







" じんたち、とても短い恋をしたの "





















ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー











はい、みなさんお気付きでしょう。

これは『いけちゃんとぼく』という映画化された絵本兼、マンガをモチーフにしました。



ほんとにこの本はいい話で泣きました。








解説のほういきますね。






テオくんとじんたんは歳をとった時に恋をしてしまった。


でもテオくんはすぐに死んでしまう。



だからじんたんは子供?テオくんと同じ歳になって現れる。






そしてふたりで共に過ごす。






でもじんたんじゃない他の人に恋をしたらじんたんは安心してテオくんの元から消えれる。






途中の待ち合わせのお話は、

あそこでテオくんとずっと先に待ち合わせをしていたということになります。













はい、意味がわからないという人は聞いてください。

そして語彙力ないですね。


じんたん目線テオくん目線ごっちゃでごめんなさい!!!

"" はじんたんです。
他にもテオくんと呼んでるところはじんたんです。

シャラの気の所もじんたんです。


あと!恋人だったのみたいな文書は全てじんたんです!




他は多分テオくんです。






あと消してるお話や表現少し?変えてます。








もうさ、短編集じゃなくなってる……(スィスェん)









わいは絵本兼マンガのほうを読みました。



みなさん!ほんとにいいお話なのでぜひ映画等を見てください!!!








それとスカイピース!!

結成のやつおめでとうございます!!!!



これからも応援してます!!

プリ小説オーディオドラマ