第50話

名も知らない君に【テオくん】
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2018/04/08 05:08

──起動










目を開けるとそこは、

ある基地みたいな所にいた。






そう、

俺は戦うためだけに生まれてきた、



" 軍事用ロボット " なんだ。






たくさんの人を傷付けて、

勝つ度に褒められてきた。





血しぶきが飛んでも嫌な匂いがしない。


汚れたら洗ってもらえばいい。





ロボットに、



感情なんて必要ない。












だけどある日のこと、



1人で戦う美しい横顔を見た。




伊達メガネをかけてて、髪の毛はチクチクしてる。



必死に戦っている姿を見た瞬間、





俺の中でエラーが生まれた。






すごくうるさい。


耳障りだ。














俺の上官はいつも言った。


上官
誰かを愛しちゃいけないぞ。
守るものがあると自分が弱くなるからな、
強い男になるんだぞ。


俺は男じゃない。


けど、




誰かを好きになったらダメだということを知った。










今でも鳴り続けているエラー音。



うるさすぎるんだ。




だから、


君を殺しちゃおうと思って銃を向けた。





でも、




俺は引き金を引くことは出来なかった。












俺は君に恋をしてしまったのかな?











テオくん
こ、これ……

俺は名前も知らない君に喜んでもらおうと、


花をあげた。




でもここは軍事基地。



花なんてないから、

そこらに生えてるたんぽぽしかなかった。




質素だから出来るだけ多くのたんぽぽを摘んであげた。



じんたん
そんなに花はいらないよ



そう言って、


君はたんぽぽをひとつ貰っていった。




こんな日もあった。













じんたん
君って寝顔が怖いね


笑いながらそう言われた。



初めて笑顔を見れたかもしれない。







そういう日もあったな。












じんたん
君の作る料理って、錆みたいな味がして最高だね〜

また笑いながら言った。





褒めてるのかバカにされてるのかはわからないけど、



嬉しかった。



君の笑顔が見れたから。







そんな日もあった。












テオくん
どう、したの…?
じんたん
……ほっといて

なんで君が泣いてるのかわからない日だってあった。




慰めてあげたいのに、


君のヒーローになりたかったのに、


抱きしめて『大丈夫』と言ってあげたかった。


涙を拭いてあげたかった。









そうな日々を重ねていくうちに、


俺はどんどん弱くなっていった。
















ある戦いの日の前日の夜、

弱くなっていったのがなぜかわからなくって君に相談したんだ。



そしたら君は俺に向かって言った。



じんたん
そんなの、本当の強さじゃないよ。
もちろん守る誰かがいるのは、時に君を弱くするさ
でもさ、弱さを知るってことは強いってことだよ。




君は言うと寝てしまった。















そして戦いの日。









夜空には星のように容赦なく降る銃弾。





月が綺麗だった。







あ、あれ?君がいない。



さっきまでいたはずなのに……




どこ?どこ行ったの?






テオくん
あっ

見つけた。



君は気付いてない。




君を誰かが狙っている。









守らなきゃ。









気付いた頃には君を抱きしめていた。











パァァン












弾が当たった事なんかなかったのに。


こんな事、初めてした。




じんたん
……え?




俺は、


胸の中にいる君を見てわかったんだ。






テオくん
俺は、君の家族になりたかったんだ……




そこから、


目の前が真っ暗になった。







誰かが叫んでるのが聞こえる。





その人は必死そうな声だった。


のに、


俺は安心してしまったんだ。









君の名前すら聞けなかったな。




どんな、名前なんだろうな………






















──起動













目を開けるとそこは軍事基地だった。







俺は戦うためだけに生まれてきた、


軍事用ロボットだ。







じんたん
……あ!


誰かがこっちに走ってくる。




つんつんヘアーにメガネをかけた子。


すごく笑顔だった。




じんたん
な、なおったんだね!よかった……

すごく安心した顔。



だけど…………






テオくん
……だれ
じんたん
えっ?


そいつの顔は一気に暗くなった。




一体誰なんだ。







そいつはなぜか泣いた。





テオくん
えっ、え?
じんたん
……ごめんね、これからよろしくね!


そいつは泣きながら必死に笑った。



すごく無理をした笑顔だった。














俺の中で、




またエラーが発生した。
















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かるらー
かるらー
はいっ!今回も歌詞小説です!!
セカオワの『Error』です!
わい、セカオワがほんっっとに好きなんです!!
ぜひ聴いてみてください!

このErrorって曲、すごく曲調は明るくてアップテンポなんですけど、
歌詞がすごく切なくて泣いちゃいました←

セカオワ最高おおおおおおおお!!!!!←うるさいです

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