第65話

家宝は寝て待て【じんたん】
752
2018/05/01 09:50
右手にはシワだらけになった切符。






広いくせして伽藍とした静まり返っている駅のホーム。






左胸にはまだ鼓動が残ってる。















電車はいつ来るのだろう。







俺はずっとずっとこの駅で待ってるのにな。











じんたん
テオくんは今、何してるの?



自分の声が駅のホームに響いた。











俺が向かおうとしてる駅は左隣の駅。






いつも笑い声と人の笑顔で満ちている楽しい駅。



そこにいる人はみんな優しくて、



いつも優しい歌声が響いているんだ。









その駅の名前は──











じんたん
テオくん



また呟いた。






なんか呼びたくなったんだ。



なんとなく、ね。











その駅に向かう為の切符は買えたんだ。






すごい勇気を振り絞ったんだよ?









なのに、

肝心な電車が来ない。









待っても、





待っても、





待っても、












何時間、何日待っても来ない。










じんたん
切符が無駄になるじゃん…



また声が響いた。






今にも消えそうなくらい小さかった。









お金と引き換えに勇気を払った。





そんな切符が無駄になるの。











早く来てくれないと。











じんたん
テオくん



また呟いた。





なんだか言いたくなったの。








寂しいんだ、



悲しいんだ、






早くテオくんと会って笑いたい。









早くこの想いを伝えたい。







やっと勇気が出たんだ。















なのに………









神様の意地悪。



俺への天罰なの??






どんなことでもやるからさ、


お願いだから電車を呼んで。















人生に一度しか買えないこの切符。





お願いだよ。







テオくんが取られちゃう前に伝えなきゃいけないんだ。


















向こうの方から音が聞こえる。




光が見える。







何かがこっちに向かってくる。












電車だ。












同時に左からも来た。




俺が乗るのは右から来たやつ。






間違えたら元も子もない。













じんたん
テオくん…

" 今すぐ会いに行くね。"





心の中で呟いた。













ぷしゅー














電車のドアが開かれた。















ぷしゅー
















電車のドアが閉まった。












" じんたん " という駅に誰かが降りた。












静かで誰も居ない駅に、誰かが降りた。























じんたん
切符が、無駄になったじゃないか……























" 家宝は寝て待て "

























誰かがそう言った。



































神様はいつでも意地悪だ。























ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー






















かるらー
かるらー
いえい、みんな理解出来たかな??
最後にテオくんは………
むふふふふふふ←←←←←おい

シワだらけの切符=長い時間待っていた
テオくんはじんたんの駅に来た=想いを伝えに来た
切符は人生に一度しか買えない=もう二度とふたりは会えない
という感じかな。((ごめん、語彙力なさすぎるw

家宝は寝て待ての意味は、ことわざの通りです。

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