俺はいつの日からか、
テオくんのことを好きになったらしい。
それも、ダメなほう。
歪んだ好き。
そんな歪な好きを抱きながら、
ふたりでお酒を飲んでいた。
そうは言ったものの、
お酒を飲み過ぎると自分をコントロール出来なくなる時がある。
テオくんはそれを知ってる。
俺は酒が回るとスキンシップが多くなる。
テオくんも承知してる。
お酒のせいだから。
そんな嘘をついてまでテオくんに触れたい。
コントロール出来ないのはほんと。
でも、
ちゃんと自分の感情で動いてる。
俺は " 気が付いたら " そんなレッテルを貼って、
テオくんに抱きつく。
あっかい。
優しい安心する匂いがする。
優しい声が頭上から聞こえてくる。
俺は頭を横に振る。
笑いながら言う。
抱きついたままでも怒らない、
そんなテオくんの優しさにまた溺れる。
そしてコップに入れ過ぎたビールの泡みたいに溢れそうになる好きを抑えるんだ。
今日も。
テオくんは、
テオくんはきっと、
きっと、
いや、
絶対。
お酒が回った思考回路の中、
テオくんの優しさに包まれていたら、
誰だって眠くなる。
いつもならもう寝てるはずなのに。
なぜか眠れない。
何か足りない。
満たされない。
欲しい。
欲しくてたまらない。
たまらなくてはち切れそう。
テオくんが欲しい。
いつもいつも " お酒 " に頼って、
いつもいつも同じことを繰り返し、
いつもいつも寝てしまう。
それだけじゃ足りない。
物足りない。
俺の頭の中はテオくんしかいない。
みやも、
たくまも、
家族も、
ご飯のことだって、
片隅にもいない。
目の前には驚いたテオくんの顔。
唇になにかの感触が残ってる。
俺は壁にもたかって座っているテオくんの太もとあたりに座り、
少し低い体制になってテオくんを見上げていた。
そんな優しい言葉、
今はいらない。
また顔を近付け、
舌を絡ませる。
不器用ながらも頑張ってみる。
テオくんからは一向に絡めてこない。
それがもどかしくって。
テオくんの方が力が強いはず。
なのに俺を押し倒したり蹴り飛ばしたりしないのは優しいから。
そんなことテオくんに出来るはずないから。
だからやるんだよ。
『好きだよ』
なんて言えないし。
『嫌い』
なんてとんでもない。
だから何もかもお酒のせいにして、
お酒の力を借りて、
今夜はビールを零したいんだ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
はい、ちょっと歪んだじんたんでしたね。
テオくん片思いも好きなんだけど、
じんたん片思いもいいよね。←
ビールを零したいってのは、
さっきの例えでビール使ったじゃないすか。
だから遠まわしにテオくんへと愛を溢れさせるって意味。
途中のいや、絶対。ってやつ、あれ意味わかんないよね。
あれは、
絶対のあとに『好きじゃない』みたいなワードが入るのよ。←←
このお話簡単に言うとね、
じんたんがテオくんにこーゆーことをするのはお酒のせいにするって意味。
はい意味不。
ごめん、理解して…(´;ω;`)
二連続じんたん目線ごめん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!