~風磨side~
この前オフの日に街をブラついてたら中島の元カノを見かけた
ぁ、そっか…変装してるから分からないのか
俺は被ってた帽子を取り、サングラスを少しずらし顔が見えるようにした
中島がまだあなたと付き合ってる頃、たまに楽屋に遊びに来てたから俺らは顔馴染みだ
せっかく会えたんだし…久しぶりに話してえな
やべ…なんかこれってナンパみたいだよな…
でもあなたはニッコリ笑いながら頷いてくれた
____
カフェに着くと何から話していいか分からず、取り敢えず世間話から始めた
そしてあなたは1枚の名刺を手渡して来た
これ…中島に教えたら会いに行くって言うだろうか
それとも言わないで黙ってた方が良いのかな
いきなりあなたの口から出たアイツの名前…
もしかしてあなたもまだ…
寂しそうに笑いながらコーヒーを口にするあなた
仕方ねえな、俺がお前らの背中を押してやるか
俺、何も間違ってること言ってねえよな?
後はあなたの気持ち次第だけど
あなたの目が揺らいでいる
その反応…YESと捉えて良いよな…?
そして俺らはその後たわいも無い話をしてカフェを後にした
____
あなたに会った時に貰った名刺を中島に差し出した
俺の手から名刺を取った中島の顔はどこか嬉しそうに笑っていた
久しぶりに見たな…仕事以外で笑ってる中島の顔
中島ならソッコー会いに行くって言うと思ったんだけど
まあ、3年も会ってねえし…元カノだもんな
バタバタと慌ただしく部屋を出て行った中島
俺らは結果を楽しみに待ってるとするかね
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!