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第36話

夏まっさかりな季節は嫉妬日和
いつもはとなりにならんで、
密着して座るベンチも、
今日は1人分のスペースが空けられていて。


耳にイヤホンをつけた俊は、
スマホにばかり目を向けている。


まるで、となりにいる私の存在を
消しているような感じで、
とても話しかけられるような雰囲気ではない。

山本恵里香
山本恵里香
(きっと……まだ怒ってるよね。
昨日、黒瀬くんといたこと)

でも昨日のことは、
思考がうまく回らないほど
私も混乱していた。


まさか黒瀬くんが、
私を恋愛対象で見ていたなんて……。


言われるまで、
ぜんぜん気づかなかった。


というか、言われても
信じられない気持ちのほうが
まだ大きい。


だって黒瀬くんも、女のコたちから
モテる華やかなタイプの人で。


告白される数もすごいと、
ウワサで聞いたことがある。


しかも相手は、美人からばかりとか。


それなのに私を好きって……。
山本恵里香
山本恵里香
(図書室の集まりくらいしか
接点がない私に

黒瀬くんは、いったい
どこを気にいって
好きになってくれたんだろう……??)

そんなことを考えているうちに、
電車が目の前に止まっていた。

いつの間にか、俊も
ドアの近くに移動している。

山本恵里香
山本恵里香
(私も急がなきゃ)

ドアが開いて電車に乗りこむと、
車内はサラリーマンの人たちで
あふれていた。


空席が見当たらないし、
今日はつり革につかまっていよう。


つり革に手を伸ばすと、
後ろからほんのりと優しい匂いが
ふわーっと香ってくる。

山本恵里香
山本恵里香
(これって……もしかして。
後ろに俊が立ってたりするのかな??)

気まずくて、
とても後ろを向ける状態じゃないけど……。

そんなことを思っていると、
山本恵里香
山本恵里香
……キャッ!!

突然、車内が大きく揺れた。


その衝撃で、私も大きく体勢を崩し、
手からつり革をぱっと離してしまった。


前の人に倒れるのを予知して、
目をつよく閉じた時。

山本恵里香
山本恵里香
(……あれ??)

何も衝撃を感じないことに気づく。


目をゆっくり開けると、
いったんバランスを崩したはずの体は、
そのまま何もなかったように立っていた。

渡辺俊
渡辺俊
……危ない。

後ろから聞こえる、
ちょっと低めなトーン。

山本恵里香
山本恵里香
(……そっか、
俊が私を支えてくれたんだ)

危なかっしいと思ったからか、
今も後ろから抱きしめられている状態で。


さっきとは違うタイプで、
心臓がドキドキとしている。