今は、桜が満開の春。
付き合い始めて半年が経った今、
発覚したことがありました。
それは彼が尋常を超えて“嫉妬深い”ということ。
最初は、そうあんまり思わなかったんだけど……。
腰に手を当てながら、ほっぺたをお餅みたいにぷくーっとふくらませた俊。
さすがに、こういうのは嫉妬の度を越えてるのかなぁって……。
もちろん、私を必要としてくれている証でもあるから嬉しいんだけど。
ちょっとだけ、大変かな。
俊の言葉で思い出した。
そうだ、そうだ。
すっかり忘れかけていた。
今日は図書委員の仕事する日だったよ~!!
待ってるの暇じゃないかな??
嬉しいよ!!
私、すっごく今幸せですっ!!
だからなのでしょうか、嫉妬の限度を許してしまうのは。
いつの間にか、先生が教壇に立っていた。
ん??
ちょっと待って。
黒板に“席替え”って書いてある??
思わずイスから腰を浮かせると、気づいた先生が顔をニヤつかせた。
いや、別に嬉しくて立ったわけじゃない。
むしろ席替えが嫌なのだ。
だって!!
今の席がお気に入りなんだもん。
隣の俊が微笑む。
今の席は運よく俊と隣。
嫌だよ、離れるなんて……うぅ。
こういうときは慎重に引かないとね。
……よーし。
箱から小さく畳まれた紙を取り出し、自分の席でそっと開いてみる。
お願い、神様っ。
おそるおそる、強くつむった目をゆっくりと開かせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。