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第32話

夏まっさかりな季節は嫉妬日和

顔を上げると、
そこにいたのは意外な人物で。

おどろきのあまり、私は目を見張る。

山本恵里香
山本恵里香
(え、俊……?)

俊は消しゴムを拾いあげると、
そのまま机に置いてくれた。

その様子にあっけに取られつつも、
私は立ち上がってお礼を言う。

山本恵里香
山本恵里香
あ、ありがとう……っ
渡辺俊
渡辺俊
…………

俊は無表情のまま、
視線だけをこっちに向ける。


……不思議だな。

さっきまでだったら、
俊にクールな感情のない目を向けられたら、
大きなショックを受けてたけど……

今では、いとおしくさえ感じちゃってる。


なんだかんだいつも、
俊は優しいんだよね……。

表情と行動が真逆なの。


私が声をかけたとき、
避けるような態度をとった俊だけど。

もしかしたら、後で
気にしてくれたのかもしれない。


俊は、本気で冷たくすることができない。
だから、消しゴムも拾ってくれたんだ。

山本恵里香
山本恵里香
俊ありがとう、バイバイっ
渡辺俊
渡辺俊
…………

無反応のままの俊に、
私はいつもどおりのニッコリ笑顔で、
手をふってから教室を出た。


大丈夫。

俊が避けて、
私のことを許してくれなくても。

それを恐れずに、
また話しかければいいんだ。


今までどおり何も変わらずに。


*
山本恵里香
山本恵里香
(わぁー……!!少し遅れちゃった)

早足で階段をかけおりて、
図書室へと続く廊下を急ぐ。


図書室に着いてから、ドアを開けると、
中にはすでに黒瀬くんの姿が。

本の整理を始めているところだった。

山本恵里香
山本恵里香
遅れちゃってごめんね……っ

声をかけると、
黒瀬くんが本だなの間から顔を出し、
いつもの爽やかスマイルでほほ笑む。

黒瀬歩
黒瀬歩
大丈夫だよ、気にしないで

その笑顔にほっとなる。

黒瀬くんは、いつも時間ぴったりに集まって、
一度も遅刻したことがないからすごい。

山本恵里香
山本恵里香
今日は何の整理??
黒瀬歩
黒瀬歩
うーんとね、

本を返却する時に
ちゃんと元の場所に
返さない人がいるでしょ
山本恵里香
山本恵里香
たしかに……いるね!?

私もそれは、ずっと前から
気になっていたことだ。

黒瀬歩
黒瀬歩
だから、バラバラに入れられた本を
元に戻す整理をしてたとこだよ

たまにジャンルの違うとこに
本を戻していく人や、
横向きにつっこんで入れる人。

色んな人がいて、困っちゃうんだよね。

山本恵里香
山本恵里香
私も手伝うっ
黒瀬歩
黒瀬歩
じゃあ、あっちやってくれる?
山本恵里香
山本恵里香
うん、わかった

ずらりとならぶ本だなの中から
集中して探していくと、
題名が逆さまになっている
本をすぐに見つける。

山本恵里香
山本恵里香
(わぁ……これもジャンル違い
けっこう探してみると多いかも)

これは注意書きとかした方が
いいのかな。

次の人が、気持ちよく借りられるためにも。