第108話

今日もとなりの君は嫉妬日和
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2021/11/08 22:49
火曜日の朝。
今日もまぶしいほどの青い空が広がる。


駅のホームのベンチで待つ間、
亜莉朱ちゃんから送られてきた
文化祭の写真をながめていた。


楽しかったなぁー!!
去年の文化祭よりも、もっと。


大好きな俊がいるだけで、何もかもが楽しくって……
彼女になれた私はほんとうに幸せ者だなって思う。


俊といると、世界が明るくなって。
好きなことがどんどん増えていくし。


何気ない毎日が幸せに映る。


心が押しつぶされそうなときも、
がんばろうってまた強くなれて。


俊に出会って、俊に愛をもらって、
私の世界は大きく変わった。


ひとりじゃできなかったことも、
好きな誰かと一緒だと
こんなに乗りこえられるんだって。


恋をしていろんなことを学んだ。
経験してきたことぜんぶ、大切な思い出だ。


俊がつらいときは私が寄りそって、
私がつらいときは俊が寄りそう。


そんな互いに支え合える関係で、
これから先もいたいな。

山本恵里香
山本恵里香
あ、そうだ!!メッセージ……

気をつかって二人にしてくれた亜莉朱ちゃんに、
ちゃんとお礼しとかなきゃ!!


もちろん、会ってからもお礼は伝えたい。


文字を打とうとした、その時。
渡辺俊
渡辺俊
誰とメールしてんの?
山本恵里香
山本恵里香
ひゃっ……!?

すぐ耳元に俊の声がして、
思わず片手で持っていたスマホが膝に落ちた。


し、心臓に悪すぎる……!!


胸のあたりを手でさすりながら、
俊のほうに視線を向ける。


あれ??


今日の俊、なんだか
いつもと違う雰囲気に感じる。


そう思っていたら、紺のパーカーを
制服の上から羽織っていることに気づいた。

山本恵里香
山本恵里香
パーカー着てるのめずらしいねっ!?
渡辺俊
渡辺俊
ん?あぁ、ね。
母さんが買ってたみたいで着てきた。

ふむふむ、俊のお母さんが選んだパーカー。
お母さんのセンスはおしゃれっと……。


そういえば、俊のお母さんってどんな人なんだろう。

初めて今日、俊の口から
お母さんのことを聞いた気がする!!


気になるなぁ……。


私が彼女で受け入れてもらえるかな?!
地味な彼女お断りだったりして……っ?!
山本恵里香
山本恵里香
しゅ、俊のお母さんってどんな人……??
渡辺俊
渡辺俊
え、お母さん?
んー、別に普通の母親だけど。

だ、だよねー……。
そりゃあ普通のお母さんだよね。
渡辺俊
渡辺俊
ところでさっき、
メッセージ送ろうとしてたでしょ?
山本恵里香
山本恵里香
うんっ、してたよ

途中で俊におどろいちゃったから、
まだ送れてないんだけどね。
渡辺俊
渡辺俊
誰としてたの。
山本恵里香
山本恵里香
亜莉朱ちゃんとだよ
渡辺俊
渡辺俊
ふぅん、何のために?
山本恵里香
山本恵里香
昨日のお礼を、したくて…

怖い……!!

どんどん険しい表情になっていく俊が、
とんでもなく恐ろしいよー……。

渡辺俊
渡辺俊
じゃあ、そのメールちょっと見して。
僕に見せられるよね?
悪いことしてないなら。
山本恵里香
山本恵里香
あぁーっ!?
私のスマホ返してー……っ
渡辺俊
渡辺俊
嫌だ。

最初は人気者の王子様の彼女になっていいのか、
不安だった。プレッシャーも多かった。


けど今は、あの答えでよかったって思えるんだ。
告白された時の私よりもはるかに自信がついたから。


好きな人の愛で、こんなに強く変われるんだ。


信じられる人がいる、
それだけでこんなに心強いんだって。


だからね、今はもう怖くない。


この先また困難な壁にぶつかったとしても、
俊となら乗りこえられる。そう思える。


今までも乗りこえてきたんだもん。


けど、となりの王子様は今日も変わらない。
あいかわらずの嫉妬日和。


──でもね、そんな君も、
私は大好きでいとおしくてたまらない。


この日常が最高に幸せ、だと。
そう思う毎日だ──…

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