無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第20話

お姫さまだっこ

学校の下駄箱で、
上履きに履き替えていた時。
太田亜莉朱
太田亜莉朱
恵里香ちゃんっ!!
次、私たちのクラス体育だよ!!

階段から顔を出した亜莉朱ちゃんが、
親切に教えてくれる。

山本恵里香
山本恵里香
えっ!?そうだっけ……


顔を上げると、時計の針は
8:30分をさしていた。

着替えるにはギリギリかもっ……。
渡辺俊
渡辺俊
僕はすぐ着替えられるけど……
山本恵里香
山本恵里香
大丈夫、俊は更衣室でしょ??
気にせず行ってていいよ

私の笑顔に、少しだけ俊は浮かない顔をしたけど
渡辺俊
渡辺俊
……分かった、早くおいでよ。
山本恵里香
山本恵里香
うん!!

頷いて先に行ってくれる。


こんなゆっくりしてる場合じゃないっ!!
急いで、私もジャージにならなきゃ。


階段を早足で上がって、教室に向かった。

*


ガラガラ。

ドアをスライドさせると、
教室には誰もおらず、
時計の針だけが音を立てている。

山本恵里香
山本恵里香
(あれ……可笑しいなぁ??)

ちゃんとロッカーに、
ジャージを入れておいたはずなんだけど……。

どうしてか見当たらない。


山本恵里香
山本恵里香
どうしよう……。

時間だけがひたすら過ぎていき、
いくら探してもジャージは見つからないまま。

これじゃあ……。

山本恵里香
山本恵里香
……うっ。

体育に行けないよ……。
それよりも先生に叱られてしまう……。


いつの間にか、目には
大粒の涙がたまっていて、
映る視界はぼやけていた。


ごしごしと乱暴に目を擦る。


……泣いてても、しょうがないよね。


見つからないんだもん。
今日の体育は見学にしよう。


そう、諦めかけた時。
渡辺俊
渡辺俊
恵里香!!!

後ろから、ハッキリと声が聞こえた。
それと同時に涙が引っ込む。

え……どうして……。

山本恵里香
山本恵里香
しゅ……ん……


不安になってる私を、いつも君は安心させる。

渡辺俊
渡辺俊
どうした?
なかなか待ってても来ないから……
何かあったのかと思って。
山本恵里香
山本恵里香
ご、めんね……


下に俯きながら唇をきゅっと噛む。

渡辺俊
渡辺俊
……泣いてたの?

そっと俊の手が頬に触れる。

渡辺俊
渡辺俊
どうしたの……
黙ってちゃ分かんないよ?

どうして、そんなに優しいの……??
まるで自分のことのように心配してくれて。

山本恵里香
山本恵里香
っ……ごめ、ん……っ。
泣くつもりなんて……っ。
渡辺俊
渡辺俊
いいよ。僕の前では泣いて。

俊は私の体をぎゅっと抱きしめ、
優しく頭をなでてくれる。


ねぇ……俊。
これは嫌がらせ、なのかな??

渡辺俊
渡辺俊
ジャージ無いの?
山本恵里香
山本恵里香
……うん……。
渡辺俊
渡辺俊
……そっか。
じゃあ、誰かの借りてこよっか。
山本恵里香
山本恵里香
えっ??


おたがいの体が離れると、俊はただ微笑んだ。
何も聞かず。