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第30話

夏まっさかりな季節は嫉妬日和
渡辺俊
渡辺俊
なんで僕を避けるの。
山本恵里香
山本恵里香
っ……、それは……

“嫉妬した”なんて言えないよ……。

渡辺俊
渡辺俊
けっこう、傷つくんだけど。
何かした?
山本恵里香
山本恵里香
ご、めんね……


どうしても俊と目を合わせられなくて、
自分の足元にうつむく。
渡辺俊
渡辺俊
……それだけじゃ、分かんないよ。

私だって……今の俊が分かんない。

山本恵里香
山本恵里香
もう……疲れる……の
渡辺俊
渡辺俊
え?

……違う。

山本恵里香
山本恵里香
その俊の嫉妬深かさとか……
もう疲れるよ!!

違うよ……。
こんなことが言いたいんじゃない。


どうして“嫉妬した”って、
素直に思ったように言えないの。


渡辺俊
渡辺俊
へぇ。そっか。
山本恵里香
山本恵里香
しゅ……しゅ、ん……??
 
顔を上げると、
無表情の俊と目が合う。

渡辺俊
渡辺俊
分かった。解放してあげる。
今までごめんね。

これからは翼が生えた鳥のように
自由になって。
山本恵里香
山本恵里香
ちょっと……俊!?

そのまま空き教室から、
ふり返ることもなく
俊は出て行ってしまった。

山本恵里香
山本恵里香
違う……よ……っ。


そんなこと、心じゃ全く思っていない。


ただ、私以外の女のコに
触れてほしくなかっただけなの……。


ねぇ……俊。
独りにしないでよ……。


チャイムが鳴ってからも、
足がピクリとも動かなかった。


ただじっと固まることしかできなくて、
ぐにゃりと視界が涙でにじむ。


どうしよう……。
こんな顔で教室になんて戻れない。

佐々木宏太
佐々木宏太
恵里香ちゃん……

声がして、あわてて目を両手でこする。

ドアに目を向けると、
佐々木くんが心配そうな顔で立っていた。

山本恵里香
山本恵里香
佐々木くん、どうしたの??


私はふふっといつもの笑顔を作る。

佐々木宏太
佐々木宏太
俺の前では、そんなに無理しないでよ。

そんな無理やり笑われたって
ツラいだけだし……
山本恵里香
山本恵里香
ごめ……っ


あやまろうとしたら、
歩み寄る佐々木くんに
両腕で包みこまれた。

佐々木宏太
佐々木宏太
……無理しなくていいから
山本恵里香
山本恵里香
うっ……

私が泣きやむまでの間、
佐々木くんは何も言わず、
ずっと抱きしめてくれていた。

気持ちがようやく落ち着いて
佐々木くんから体を離す。

山本恵里香
山本恵里香
ごめんね……
佐々木宏太
佐々木宏太
ふふ、気にすんな


やわらかく笑いながら
頭をなでてくれる佐々木くん。


自分の授業を犠牲にしてまで
一緒にいてくれるなんて、
佐々木くんは本当に優しすぎる。
佐々木宏太
佐々木宏太
落ち着いた?
山本恵里香
山本恵里香
うん、ちょっとだけ……
佐々木宏太
佐々木宏太
へへっ、そんなら良かった
じゃあ、教室戻ろっか
山本恵里香
山本恵里香
うん……


でもやっぱり、俊は迎えに来てくれない。


このまま本当に終わっちゃうのかな……。
もう、どうしようも出来ないのかな……。