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第33話

夏まっさかりな季節は嫉妬日和
黒瀬歩
黒瀬歩
どう?そっち終わった?

黙々と2人で本を整えていると、
先に終わった黒瀬くんが様子を見にくる。

山本恵里香
山本恵里香
待ってね!!
あと、ここだけ……

本の向きを整えて、
グッと奥に押しこむように入れる。

よし、これで元どおりっと。

山本恵里香
山本恵里香
終わったよ!!
黒瀬歩
黒瀬歩
お疲れ
今日はこれくらいでいいらしいよ
先生言ってた

時計を確認すると、針はまだ17時半前。
いつもより得した気分になる。


図書員の先生はクラス持ちだから、
今日みたいに来れない日があると、
早く帰れることが多いのだ。



2人で電気や窓の戸締まりをしていると、
ふいに黒瀬くんがこっちに歩いてくる。

黒瀬歩
黒瀬歩
ねぇ、恵里香ちゃん
山本恵里香
山本恵里香
ん??
黒瀬くんどうしたの??

窓をぜんぶ閉め終えてから、
黒瀬くんのほうをふり返る。

黒瀬歩
黒瀬歩
今日の恵里香ちゃんさ、
無理して笑ってない?
山本恵里香
山本恵里香
え……そんなこと、

笑って否定しようとしたら、
急に黒瀬くんの顔が近づく。

山本恵里香
山本恵里香
く……黒瀬くん??

思わず逃げるように
ササッと後ずさりした。

しかしすぐに黒瀬くんが
本だなに両手をついて、
私をいきなり閉じこめる。

山本恵里香
山本恵里香
く、黒瀬くん……っ
急にどうしたの……??

いつものおだやかな
黒瀬くんじゃない雰囲気に、
とまどいながら見つめる。


すぐ近くで目が合っていて
恥ずかしい私とは対照的に、

黒瀬くんは冷静な声で、
探るような鋭い視線だけを向けた。


黒瀬歩
黒瀬歩
もしかして、彼氏となんかあった?
山本恵里香
山本恵里香
……っ

痛いとこを突かれて、
思わず視線が大きくさまよう。

か、感が良すぎるよ……。


何も言えず、ただ
顔を下に向ける私に、

黒瀬くんはやっぱり……
と、声をもらす。

山本恵里香
山本恵里香
でもっ!!
大丈夫だよっ、本当に……

心配してくれてるんだったら大丈夫。
きっと時間が解決してくれる。

なのに……
黒瀬歩
黒瀬歩
俺、恵里香ちゃんが好き
山本恵里香
山本恵里香
……へ、??

黒瀬くんがとんでもないことを
言い出すから、
頭が混乱しそうになる。

山本恵里香
山本恵里香
(黒瀬くんが私を好きって……
な、なに、言ってるの……??)
黒瀬歩
黒瀬歩
図書委員になってから、
ずっと恵里香ちゃんを見てた。
恋愛対象で。
山本恵里香
山本恵里香
で、でも……私、
彼氏いる、よ……??
黒瀬歩
黒瀬歩
うん、知ってるよ

でも、そんな泣きそう顔、
彼女にさせるなら、
その人は彼氏として
甘いんじゃないかな
山本恵里香
山本恵里香
……え??

黒瀬くんのきびしい言葉、表情に、
私は一瞬ムッとなりそうになった。
山本恵里香
山本恵里香
(……そんなことない。
……甘くなんてないもん)

黒瀬くんが心配して、
気にかけてくれているのはわかる。

でもそう思う一方で、
俊が否定されているような気がして、
フクザツな気持ちにもなった。


悪いのは、ぜんぶ私なんだ。


言わないから、
俊に誤解をあたえて、
傷つけてしまった。


理由も知らずに避けられて、
俊だってつらいのは同じなのに……。

私は俊の気持ち、何も考えないで……。