デザート風にフルーツやホイップで、
可愛くデコレーションしたホットサンドよりも、
みーんな俊にカメラを向けている。
恐るべし、俊効果。
男性客に呼ばれて、注文を聞きに向かう。
時々こうやって名前を聞かれるけど、
そのたび笑って頭をさげてテーブルを離れる。
そして、料理担当の亜莉朱ちゃんに、
聞いた注文を伝えに行く。
コスプレカフェは、
たくさんのお客さんたちの声でにぎわい、
楽しんでもらえているみたい。
大成功です!!
文化祭2日目。
今日もコスプレカフェは多くのお客さんが集まり、
次から次へと注文も大忙し!!
でもカフェって楽しいなぁ。
達成感がある。
少し無愛想な俊だけど、女のコには
そこもまた受けているポイントのようで。
人気急上昇中みたい。
いろんな女のコたちへの接客は複雑だけど、
でもカフェを楽しんでもらうためには、
少しくらいの我慢もしなきゃ!!
今日だけ、だもんね。
コップが足りなくなって、保健室まで向かう。
文化祭中は他のクラスが調理室を使ってるから、
保健室から取っていいことになってるんだ。
中に入ると、先生の姿はなかったため、
自分で棚から紙コップの袋をとりだす。
そして保健室から出ようと、
ドアをスライドさせかけた時だった。
後ろからいきなり誰かに手を引っぱられて、
どんどん体がドアから離れて行く。
そして肩を軽く押されて、
ぼふっとベッドの上に座らされた。
見上げると、
むすっとした顔で俊が立っている。
なんで保健室にいるの??
というか、なんだか機嫌が悪そう??
もしかして、
急に気分が悪くなったとか……。
いやいや、女のコたちの接客を
まかせっぱなしにしてたから、
それが原因で怒ってるのかも……っ。
頭のなかで必死に心あたりを探していると、
無言のままの俊が、私の体を囲うようにして
ベッドに手を置きはじめた。
ギシッ、と軋む音が保健室に響く──…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。