無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第37話

夏まっさかりな季節は嫉妬日和
山本恵里香
山本恵里香
ごめんね……ありがとう

私の言葉に返事は何もないけれど、
俊の手は私の腰に置かれたまま。


さり気ない優しさが、
私の胸をきゅっと締めつけていく。

山本恵里香
山本恵里香
(ごめんね……。
ちゃんとタイミング見つけて、
全て話すから)
山本恵里香
山本恵里香
(だから、今だけはもう少し待っててね)

そう、心のなかでつぶやいた。


あれから着くまで
俊がずっと支えてくれていたおかげで、
突然の強い揺れにも、
バランスを崩すことはもうなかった。

そして、いつもの通学路を歩く今。


本当なら横にならんで歩く、
はずなんだけど。


やっぱり、前と後ろで
距離が開いている。


でも後ろ姿の俊も、
最高にカッコよくて、
我を忘れて見とれちゃうくらい。


でも、ずっと見ていたら
さすがに気づかれちゃう。


そう思って、視線を空に変えた。


こうして後ろから見続けたりすると、
いつもカンが鋭い俊は気づくんだ。

山本恵里香
山本恵里香
(わぁー……
あの空はネコさんみたい)

そんなことを、
ぼんやり頭の中で考えていると……

山本恵里香
山本恵里香
わっ!?

いきなり何かにぶつかって、
あごに軽い痛みが走る。

山本恵里香
山本恵里香
(え、何にぶつかって……)

手であごをおさえながら、
視線を前に戻せば、すぐ目の前に
俊の背中がドアップで飛びこんでくる。

渡辺俊
渡辺俊
危ない。
山本恵里香
山本恵里香
へっ??

危ない……??


あぁっ!!
空を見てたら危ないってことか。


そっか……。
また心配してくれたんだね。


やっぱり優しいなぁ、
と口元をゆるめていると。


前を向いていた俊が、
私のほうにふり向く。


そして視線をさまよわせながら、
俊は沈黙する。

山本恵里香
山本恵里香
(……そうだ、昨日の誤解。
解くなら、今しかないよね)

意を決して、口を開こうとした瞬間。

渡辺俊
渡辺俊
昨日のことなんだけどさ……
山本恵里香
山本恵里香
昨日はごめんなさい……っ!!

同時に声がかぶり、
2人できょとんと顔を見合わせる。


渡辺俊
渡辺俊
……あ。
山本恵里香
山本恵里香
ふふ……先にどうぞ

それがおかしくて、
たまらず笑みがこぼれた。

渡辺俊
渡辺俊
うん……
昨日のこと、なんだけど……さ、
……あれ取り消す。
山本恵里香
山本恵里香
え??

取り消す、って……何を??


不思議に思いながら、
次の言葉を待っていると。


髪をかきむしりながら、
俊が気まずそうに声を
ぽつりぽつりとこぼしていく。

渡辺俊
渡辺俊
……優しい黒瀬くんと
付き合うってやつ。
山本恵里香
山本恵里香
あっ

なんだ、そのことか!!
でも、私……