第43話

特別 卒業編
2,150
2021/07/28 17:02
今日、私達は青葉城西高校を卒業する
思い返せば色んなことがあった
喧嘩をして
馬鹿やって怒られて
悔しくて八つ当たりしたり
笑い乱れたり
ばーかって暴言言ったり
 時には軽蔑し合ったり
担任「3年6組、紅葉  あなたさん」
『はい』
1歩
また1歩
卒業証書を貰いにステージへ向かう
ステージに立てば私は校長先生と向かい合う
ここまで練習通り
校長先生「3年間、よく頑張ったね。ちゃんと人の話を聞いて、紅葉さんの笑顔で周りのみんなを笑顔にするんだよ」
『はい』
練習にはない言葉を貰い
卒業証書を左手で持ち自分の席へ戻る
渡や矢巾、国見ちゃんや金田一が見える
金田一なんて目元を真っ赤にしてそうな顔をしていた
(本当にこれから大丈夫かな?)
いらない心配をしながら席へ着席






お客様や先生方の言葉はみんな似たようなことばかり
天気がどうだの1年の頃がどうだの
正直どうでもよかった
早く終われ、早く終われとばかり考える時間
(こんな時間いらない、だから)
"早くみんなと逢わせて__"
この思いで一心だった
1分でもいい
少しでもみんなと顔を合わせて笑いたい







青葉城西高校3年生一同での合唱
みんなの顔が見えるひな壇
この体育館は、もう来れない
来ようと思えば来れるけど
そんな暇なんてない
一つ一つ思い出を思い出しながら歌う校歌と合宿
指揮者は泣きながら手を振る
私の隣の人も泣き出した
私はと言うと
まだ泣けないまま









退場のために腰を上げ、ゆっくりと前に進む
ゆっくり
ゆっくりとみんなの横を通る
国見ちゃんの横をちょうど通る
国見「中学から、本当にお世話になりました…
今にも泣きそうな顔で下を向く彼
私は自然と体が動き腕が上がる
ポンッ
いつでも相談とか乗るからね!国見ちゃん!
私の腕は彼の頭へ落ちた
軽く撫でれば彼は肩を震わせ頭を下げた
周りの子はびっくりするだろう
無気力の国見ちゃんが泣くんだもん









体育館を出て教室に戻ればみんなは写真を撮るなり話すなり自由にしていた
私は徹くんの横に座った
『徹くん』
及川「ん?」
『後でバレー部集合写真撮らない?それと3年集合写真』
及川「いいね」
少し悲しそうな顔をした徹くんは頷いた
『徹くん、私たち、もう18歳だね』
及川「うん、そうだね」
『お互い落ち着いたらさ、徹くんが良かったらなんだけどさ』
及川「ん?」
『結婚して欲しいな〜』
及川「?!!?!!!?!」
『あ、嫌だったらいいからね?』
及川「ちょ、それ、俺のセリフなんだけど??!俺のプロポーズ取られた!!」
『嫌じゃ、ない?』
及川「当たり前じゃん!!!あなたと結婚するのは俺しかいないから!!」
『ふふっ‪wそうだね』







卒業
それは人生のひと段落をつける行事
出会いがあればいつかは別れる
そんなの当たり前だけど
嫌だともがいたって無駄
今の時間を大切にしよう
そんなこと思ったって時間はすぎてしまった
誰もが同じ道を進む訳では無い
彼は彼なりの道
彼女は彼女なりの道を
あの人はあの人なりの道で前へ進む
人生100年時代
12や15や18なんてまだまだ若い
死ぬなんて先のこと
今考えても無駄なんだ
行きたくても生きれない人がいるのはそんなの知っている
けど
いつだって人は逃げたくなるもの
死にたくなる時だってある
そんな時は
今日を一緒に乗り越えよう
今の出会いはもう二度とない
死んだら終わり
生きてるのは辛い人もいるだろう
それならば昨日の自分に勝てるよう一緒に生きようよ
ゆっくりでもいいからさ
ゴールに目掛けて
ダイブをするために
明日からは違う道


頑張ろっかな
みんなバレー部のみんなの為にも








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今月は卒業の月
卒業をする皆様
ご卒業おめでとうございます
私は先輩方の卒業式を見れません
とても悲しいです
私の学校では今週の金曜日が卒業式ですが
先週の人達もいるでしょう
本当におめでとうございます
コロナに負けずに、私たちの先輩として頑張ってください
本当にありがとうございます

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