ちょうどお母さんが亡くなった年だ…
そう言うと、席を立ちキッチンへ。
何度も夢に出てくるって事は、
何かを伝えようとしてるって事だよね…
その日の夜、
夢に蓮くんが出てくる事はなかった。
次の日。
桐山さんの声で起こされる。
時計を見ると、朝の6時。
そういえば、お客さんが来るって言ってたな。
用意してくれてる間、
テレビをぼーっと見ていた。
今日は、7月23日か…
そっか。
今日から4連休だ。
おにぎりとお味噌汁と、
卵焼きときゅうりと茄子の糠漬け。
部屋に戻って寝転がる…
何しよっかなーなんて、
スマホで動画を探すけど、
せっかくだし散歩にでも行こって、
海へと歩いた。
砂浜はまだガラーンとしていて。
波打ち際を歩いた。
貝殻の破片や小さな流木が、
重なって積み上がっており、
そこを踏みながら歩くと、
ジャリ、ジャリ、と音がする。
この音、好き…
下を向いて踏み踏みしながら歩いていると、
ブルーの綺麗なシーグラスが落ちていた。
拾ってしばらく眺めた。
確か赤いシーグラス見つけると、
願い事が叶うんだよね。
………ん?
誰から教えてもらったんだっけ…
………
………
………
あっ!
蓮くんだ!
あの時みんなで、
赤いシーグラス探してた。
それで、見つけて、願い事した気がする…
なんだっけ…
………
………
………
思い出せない!!
でも、あの時の赤いシーグラスは、
ジャンケンで勝った蓮くんが持ってるはず。
負けた私は大泣きして…
蓮くんが私にくれるって言ってくれたのに、
『次会った時、もらう!』
って意地張って。
せっかく譲ってくれたのに…
ごめんね、蓮くん…
少しずつだけど、思い出さなきゃね…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。