第4話

桐山照史
617
2021/08/27 00:46
桐山照史
桐山照史
さっ!ご飯にしよか!
あなた

食欲ないので…

桐山照史
桐山照史
せっかく作ったんやで。
ひとくちでも食べて。
あなた

………

桐山照史
桐山照史
気になる?昔のこと。
あなた

はい…なんでもいいので、
教えてもらえませんか?

桐山照史
桐山照史
………
あなた

お願いします。

桐山照史
桐山照史
話したら食べる?
あなた

場合によっては…

桐山照史
桐山照史
じゃぁ教えへん。
あなた

わかった!食べます!
教えてくれたら食べます!

桐山照史
桐山照史
約束やで。
ん…あれはな、あなたちゃん小2の時やねん。ここにお父さんと泊まりにきてな。
あなた

2年生の時…


ちょうどお母さんが亡くなった年だ…

桐山照史
桐山照史
俺の親父とあなたちゃんと蓮のおとんはな、大学からの友達なんや。
あなた

蓮くんのお父さんも!?

桐山照史
桐山照史
そや。でな、夏休み、1週間くらいかな?
ずっと一緒におって。
ご飯食べる時も、寝る時もずっと一緒で。
覚えとらん?
あなた

まったく…

桐山照史
桐山照史
そうか…
うん!無理に思い出さんでもええよ。
さっ!教えたで。ご飯食べよ。
あなた

じゃぁ、ひとつだけ!

桐山照史
桐山照史
なに?
あなた

なんで今になって蓮くんは、
私の夢に出てきたんですかね?

桐山照史
桐山照史
それは…
あなた

それは?

桐山照史
桐山照史
わからへん…
あなた

えっ!?

桐山照史
桐山照史
わからんわ…
なんでやろうなぁ。
あなた

………

桐山照史
桐山照史
どした?
あなた

今度、聞いてみます。

桐山照史
桐山照史
誰に?
あなた

蓮くんに。
もしまた私の夢に出てきたら、
聞いてみます。

桐山照史
桐山照史
そやな笑
それがええ。
あなた

でも、前に桐山さんの夢にも出てきたんですよね?

桐山照史
桐山照史
出てきたで。
あなた

どんな夢だったんですか?

桐山照史
桐山照史
あん時はなぁ…
あなた

………

桐山照史
桐山照史
どんな夢やったやろ!
忘れた!


そう言うと、席を立ちキッチンへ。

あなた

あっ!逃げた!


何度も夢に出てくるって事は、



何かを伝えようとしてるって事だよね…

桐山照史
桐山照史
さー!ご飯にするでー!
あなた

思い出したら教えてくださいよ!

桐山照史
桐山照史
はいはい!わかりました!


その日の夜、



夢に蓮くんが出てくる事はなかった。



次の日。

桐山照史
桐山照史
行ってらっしゃーい!
帰ってきたら声かけてくださいねー!

桐山さんの声で起こされる。



時計を見ると、朝の6時。



そういえば、お客さんが来るって言ってたな。

あなた

おはようございます…

桐山照史
桐山照史
あっ、おはよう!
起こしちゃった?
あなた

いえいえ。
もう来られたんですか?

桐山照史
桐山照史
今着いて海行ったで。
あなたちゃん、お腹は?
あなた

あっ、朝はいつも食べない…

桐山照史
桐山照史
あかん!ここではあかん!
ちゃんと食べな。
今用意するからそこ座って待っとき。
あなた

はい…

用意してくれてる間、



テレビをぼーっと見ていた。



今日は、7月23日か…



そっか。



今日から4連休だ。

桐山照史
桐山照史
はい!お待たせしました。
あなた

うわっ!美味しそう!

桐山照史
桐山照史
大したものないけど。

おにぎりとお味噌汁と、



卵焼きときゅうりと茄子の糠漬け。

あなた

私には十分です!
頂きます!

桐山照史
桐山照史
今日は何するの?
あなた

ん…なにしよ…散歩でもしようかな…

桐山照史
桐山照史
今日は休みやから海水浴の家族が沢山くるで。車に気をつけてな。
あなた

はい笑

桐山照史
桐山照史
何がおかしいの?
あなた

いや、私もう大人なのに笑

桐山照史
桐山照史
そやったな笑
あなた

でも、何かお手伝いできることあったら言ってくださいね!

桐山照史
桐山照史
ええの?
あなた

ええっ!?

桐山照史
桐山照史
あかんの?笑
あなた

いやいや…

桐山照史
桐山照史
俺、遠慮ないで。
あなた

そうなんだ…

桐山照史
桐山照史
でも今日は…
夕ご飯の手伝いお願いしてもえ?
あなた

了解です。

桐山照史
桐山照史
それまでゆっくりしといて。
あなた

はい。


部屋に戻って寝転がる…



何しよっかなーなんて、



スマホで動画を探すけど、



せっかくだし散歩にでも行こって、



海へと歩いた。



砂浜はまだガラーンとしていて。



波打ち際を歩いた。



貝殻の破片や小さな流木が、



重なって積み上がっており、



そこを踏みながら歩くと、



ジャリ、ジャリ、と音がする。



この音、好き…



下を向いて踏み踏みしながら歩いていると、



ブルーの綺麗なシーグラスが落ちていた。



拾ってしばらく眺めた。



確か赤いシーグラス見つけると、



願い事が叶うんだよね。



………ん?



誰から教えてもらったんだっけ…



………




………




………




あっ!



蓮くんだ!



あの時みんなで、



赤いシーグラス探してた。



それで、見つけて、願い事した気がする…



なんだっけ…



………



………



………




思い出せない!!



でも、あの時の赤いシーグラスは、



ジャンケンで勝った蓮くんが持ってるはず。



負けた私は大泣きして…



蓮くんが私にくれるって言ってくれたのに、



『次会った時、もらう!』



って意地張って。



せっかく譲ってくれたのに…



ごめんね、蓮くん…



少しずつだけど、思い出さなきゃね…









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