浜辺に座っている2人の男の子。
沈む夕日を見ていた。
今年はあなたちゃん来なかったなぁ。
なんかね、お父さんが再婚して、
赤ちゃんができたんだって。
そっか…
新しいおかんができたんやなぁ。
シーグラス、渡そうと思ったのに…
そやなぁ。
照史兄ちゃん、来年くるよね?
くるで!
あなたちゃんも来るかな…
来年は来るやろ!
そうだね!
なんや、俺一人はあかんか?
そんな事ないよ!
照史兄ちゃんと会うと元気になるし!
そうか?
かわいいやっちゃなぁ。
おーい!肉焼けたぞー!!
今行くわー!
ほら、行くで。
うん…あっ、ねぇ、
照史兄ちゃん!
なに?
覚えてる?シーグラスの願い事。
もちろん覚えてるで。
そっか、よかった!
忘れんで、絶対。
それに向けて色々頑張ってるわ。
うん!僕も頑張るから!
おう!!
ほら、肉食べいこ!
そこで夢は終わったのか、
視界が真っ暗になった。
これは、照史お兄ちゃんの記憶かな…
私はお父さんが再婚したから、
これなかったんだね…
すると今度は、
照史お兄ちゃんと社長の姿が見えてきた。
今年は受験だから蓮ところはやめよな。
なんで?
勉強せんと。
1週間くらい平気やろ!
あかん。全然成績足りひんやろ?
俺ひとりでも行くわ。
今年はあかん。
なんやねんな!
約束してるんやぞ!
受験終わったらいくらでも行かせたるわ。
こんな成績ではあかん。
この学校、俺の希望やないで。
しかも東京って。
ここ以外は許さへん。
お前は俺と東京へ来るんや。
兄貴がおるやろ?
なんでいつも言う通りにしないとあかんねん。
あいつはな、東京より大阪の方がええねん。ええから。勉強せい。
俺はやりたい事があんねん。
この学校入ったとしても、親父の思ってる通りにはならへんからな。
どんな夢か知らんけど、
入れたら聞いたるわ。
約束やぞ。
夢?
照史お兄ちゃんの夢って…
よくやったなぁ。
約束忘れてないよな?
覚えてるで。
で、夢ってなんや。
俺は、料理人になる。
料理人!?
もう決めてんで。
そんな甘い世界やないで。
お前には無理や。
無理かどうかなんてわからへんやろ。
無理に決まっとる。
無理やない。
後悔するで。
せーへん。
大学は行けよ。
大学は行かへん。
高校卒業したら専門学校行くわ。
それはあかん。
大学は行け。
行かへん。
許さへんで。
よく考え。
大学は絶対行かへんからな!!
目がさめる。
窓に映る自分を見る。
まだ入れ替わったままだ。
照史お兄ちゃん…
いつも元気だから、
いつも笑顔だから、
やりたい事を自由に、
好きなように生きてるんだって、
勝手にそう思ってた。
でも、夢の中の照史お兄ちゃんは、
ちゃんとやりたい事があって、
きちんとした夢があって、
それに向かって真っ直ぐだった。
昨日の事を、謝りたくなった。
酷いこと言ったな…私…
部屋を出た。
すると後ろから元気な声が。
おはよう!
うわっ!!
おはよう…ございます…
寝れたか?
はい…
お腹空いてるやろ?
いえ…
いや、俺の身体や。絶対空いてる!
昨日も夜食べてへんからな。
………
あれ?ちょっと痩せたか??笑
あの…昨日は…ごめんなさい!
酷いこと言って…
かっこ悪って?
ごめんなさい!
ええよ。ほんまの事やし。
でもなんで?
なんでここを離れるんですか?
約束やねん。
約束?
まぁ、俺ひとりじゃあかんかったって事や。さっ、ご飯の支度するな。
部屋で待っとき。
そう言ってキッチンへ。
部屋で待っていると、
綺麗にお盆にのった朝ごはんがやってきた。
ふっくらしたご飯と、
湯気のたったお味噌汁。
焼き魚と卵焼き、
夏野菜のお漬物。
いただきます。
めしあがれ。
うん…美味しい…
やろ?
照史お兄ちゃんのご飯は美味しいね。
魚焼いただけやで。笑
ううん!
なんか、そういうんじゃなくて…
あったかい…
おん…そか…
元気になる。
そうか?
私もこんなご飯作れるかな…
ん?
元気になれる朝ごはん。
誰でも作れるで。教えよか?
ええっ!?
ええっ!?って、どっち??
作りたいって今言ったよね?
いや、言ったけど、
そういう意味じゃないっていうか…
じゃ、今日から特訓な。
そうと決まったら買い出し行こ!
あっ!そや!その前に、
謝らなあかん事があってな。
なに?
昨日、お風呂入ってん。
えっ!?!?!?
言うてから入ろうと思ってんけど…
あんな感じやったやん。
変態!!!
変態!?
最低!!!
最低!?
あれやで、あんま見いひんように、
上向いて入ったから。
嘘だ!!!
絶対嘘だ!!!
嘘でーす!笑
待って!着替えは?
寝てる間、こっそり荷物あさりました。
ごめんなさい。
でもほら!
ちゃんと、レースのパンティー履いてるで。
ぎゃぁぁぁーーー!!
入れ替わり生活2日目。
今日もなんだか色々ありそう。
そや、あなたもシャワーくらいは浴びんとな。
どうりで臭うわけだ。
失礼やろ笑
やだな…
もう洗ってよ、自分で。
なにを!?
自分の身体!
自分で洗ってよ!!
俺が!?俺の身体洗うん?
それはないわ。
やなんだもん!
でも、これあなたちゃんの身体やで!
ええの?この手で、あそこゴシゴシゴシーってしても。
いやぁぁぁぁーーー!!
おとなしく、1人でシャワーを浴びた。
お風呂に入るときは、
何も考えず、
何も感じず、
何も悩まず、
頭を空っぽにする。
無になる。
そう決めた。
ほな、出発するで。
待って!軽くお化粧させて。
しなくてもかわいいで。
だめ!ほら早く部屋来て。
めんどくさいわぁ…。
つべこべ言わない!
はい!
メイク道具を出した。
うわっ!なんやこれ!
すごいなぁ…。
女の子は大変なんですよ。
あっ、これから、お風呂上がりは必ず化粧水してくださいね!これ!
はい!
あと、外出るときは必ず日焼け止め。
はい!
髪の毛は…結べます?
こうやろ?
とかすだけで、お願いします。
はい…
じゃ、まずは化粧水から。はい!
えっ!?俺がすんの!?
もちろん。
私の真似してください。
おん。
まずは化粧水を手の平にこれくらい出して、少し伸ばして…
手の平で顔を包み込みながら優しく肌にのせてください。
肌にのせる!?
初めて聞いたわ。
ほら!早くやる!
化粧水を出して…のばして…
肌にのせる…
そうそう!上手い!上手い!
あとは、こうやって押し付けてく感じで、顔全体に!
こうか?
That's right!
お、おう…
で、次は、日焼け止め!
これは、鼻筋とか、おでことか、焼けそうなところにポンポンと乗せてく感じで。
またのせるのね…
で…BBでいっかな。
BB?
あっ、これね!
これは、人差し指にこれくらい出して…
しろっ!!
ちょっと待って!
えっ!?
それは俺に塗らへんよな。
うふふ…どうしよっかなー。
ほんまに、やめてください。
てか、塗るわけないじゃん!
こんな真っ黒い肌に。
真っ黒…そやな…
確かにこうやって見ると…
………
男前やな!
じゃ、これは私が塗るんで、目閉じて。
おとなしく、口も閉じててくださいねぇ〜
はい…
よし!できた!あとは眉を書いて…っと。
あっ!リップも塗ってと…。
はい!出来上がり!!
これはやらんの?ほら、まつげの。
んー本当はしたいけど、
落とすの大変だし、
これでも十分かわいいし!ねっ!!
もう終わった?
早く行こ。
………
どした?
そんなワイルドな俺に見つめられると惚れてしまうんやけど…
惚れる?
こんな焦げ焦げな豚さんに?
おい!
俺はチャーシューやないで!
あはははは笑
ほら、行くで!
わかった!にしても…
なーんでこんなおっさんと入れ替わっちゃったんだろー。
くち悪っ!
心の声が…
ダダ漏れや笑
さてさて、
チャーシューでも買いに行きますか!
食うんかい!笑
車に乗ってスーパーへ。
とりあえず、気持ち入れ替えて過ごさなきゃ!
照史お兄ちゃんにとったら、
ここでの最後の夏だもんね。
いいねして作者を応援しましょう!
この小説を読んだ方は、こちらの小説も読んでいます
- ノンジャンル
プライベートを隠す理由
ある時誰かが言った。 紫「ホンマにしげちゃん休日何してるか 分からんわ。」 赤「俺、プライベートは徹底してんねん。」 橙「家どこに住んでんの?」 赤「ん〜…まぁ基本的には屋根はないかな笑」 橙「おい!外住んどんぞ!!マネージャー笑」 メンバーすら誰も知らない センター重岡大毅の裏の顔「プライベート」 いつもは明るく振舞っていたしげでも プライベートでは苦しんでいたんやな…。 赤「…よっ!来たで。」 赤「プリンセスって王子様のキスで 目が覚めるんやってさ。 なら俺が今からキスしたら …目覚めるって事やんな?」
favorite 6,332grade 895update 2024/04/10 - 恋愛
神 山 先 生 は 私 の 彼 氏 __ 。
彼が大学4年生の夏、私は高校2年生。 「俺○○の事すきだ。 ○○俺と付き合って??」 その一言で私たちの恋が始まった______. 教師になった智くん(神山智洋)は私の学校の先生に!? 教師×生徒の禁断の恋始まります💚
favorite 9,480grade 780update 4日前 - 青春・学園
小 瀧 く ん と 同 居 し た ら __ 。
初めての一人暮らしのはずが小瀧くんと暮らす事に____________。 「必要最低限以上に俺に話しかけないで」 「世界で1番女が嫌いだから」 完全に壁を作られて全く話にいけずにいる○○だったけど。 帰りが遅いと 「どこ行っとったん?心配したんやけど」 バスの中では 「○○手繋ご」と手を握られる そんな実は優しかったり甘かったりな一面を見ることも出来て____________??
favorite 11,655grade 1,148update 3日前 - ノンジャンル
W E S T . の 紅 一 点
. Q. 宮本 を一言で表すと? 重岡「 俺よりアホ!w 」 桐山「 可愛い天使♡ 」 中間「 重岡並に元気 」 神山「 みんなの妹やな 」 藤井「 女子力ナッシング 」 濵田「 破天荒な女の子やで笑 」 小瀧「 俺の彼女♡ 」← 宮本「 重岡藤井小瀧ぶっ飛ばす 」 .
favorite 1,900grade 448update 2024/03/26 - 恋愛
神山先生と私の日常
『あっ!せんせーはっけん!!』 「まぁたお前か…」 『先生好きですっ!』 「はいはい、それより課題したんか?」 『うげっ、それはっ、』 素直になればいいのに… まぁ、そこも好きなんだけどねっ♡ 神山先生との日常 ちょっと覗いてみませんか?
favorite 543grade 221update 2024/03/29
が好きなあなたにおすすめの小説
コンテスト受賞作品
もっと見るショートドラマ&アニメーション原案募集コンテスト
公式TikTokの注目動画
もっと見るチャレンジ小説
もっと見る- 青春・学園
夢主の親友ポジになったので全力で作品を盛り上げたいと思う
今世がまさかの(ある意味)王道夢小説の世界だったけど夢女子の一人として不満が満載なので総力を尽くして作品を盛り上げたいと思います 「夢主また屋上でボカロ歌ってんな」 ______ ある日、前世の記憶(限界夢女子時代)が蘇った主人公『親友』。そんな彼女が生活する今世はかつて自分が好きだった作品の"夢小説"の世界だった。 この世界を読んだ人が楽しめるよう盛り上げるべく立ち上がる親友。 夢小説あるあるな展開を作り上げたり、キャラクター達の口調を正したり、時には推しを眺めたりして、今日も彼女は夢主の隣で暗躍していた。 今日も波瀾万丈な夢小説生活が始まる。 ※この作品は、夢小説や夢小説作家の方々を批判するものではありません すでに投稿した文章を時折修正する可能性がございますが、内容には支障をきたさないようなるだけ注意させていただきます 夢小説あるあるをコメントしていただけるとありがたいです 作品内で使わせて頂く可能性があります 表紙は自作です
- ノンジャンル
「百花繚乱」と私。〜悪の組織と秘密の任務〜
━━「百花繚乱」って知ってる? ──え、あの都市伝説って言われている? ━━そう、悪の組織から私たちを守ってくれるっていう組織 ごく普通の高校生、楠若葉。ある日、都市伝説とも言われている「百花繚乱」のリーダーからスカウトを受けて────!? これは、私達が悪の組織に立ち向かう物語。 表紙画像 菜月様 https://mobile.twitter.com/0802_na_ 2022/5/17 シルバーランク ありがとうございます! 2022/5/24 ゴールドランク ありがとうございます!
- ファンタジー
この世界を君が紡ぐ
ある日。一つのことを除き、記憶を無くした主人公が目を覚ました。 その主人公は、自分には「ハイジャ」という名の姉がいた。それだけは覚えていた。 主人公は、無くした記憶を取り戻しながら、様々な種族と交流し、姉を探す旅に出る。 ────────────────────────── 【プロローグ】 第1話〜第8.5話 第1章【アウィス】第9話〜 ────────────────────────── 表紙とアイコンのイラストは自作です 4/2 チャレンジ称号獲得!ありがとうございます!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!