俺の名はリオン。
氷の魔道士だ。
最近の俺は運がいい。だって、想いを寄せる彼女と一緒に仕事ができるのだ。二人きりではないがな。ギルドが違うのだからそれは難しいだろう。まあ、何はともあれ俺達は一緒に仕事をする。そして今はその打ち合わせ中だ。
はぁ……
ジュビアはグレイ一筋だからな。
俺の入る隙間もないくらいに。
それにしてもグレイの奴は、少しはジュビアに優しくしたらどうなんだ。
どんなに冷たくされても、ジュビアは諦めない。なんて強いんだろう。
グレイには本当にもったいない。
情けない弟弟子だ。と呆れてしまう。
今回の依頼は海賊退治だ。街の港を度々襲っているらしいが、都合よくすぐ現れるとは限らない。
長引けばいい。と思ってしまう自分がいる。
そうしたら、ジュビアの近くに長くいられる。
もしかしたら、俺にもチャンスがあるかもしれない。
帰り道
空を見上げてつぶやく。
俺は絶対諦めない。
0.1%でも可能性があるならそれに飛び込む。
ジュビアのことで頭がいっぱいだった俺は
この時シェリアの様子が少しおかしい事に全く気づかなかった。
〈続く〉
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。