あたし、シェリア。
ラミアスケイルに所属している魔道士。
……あたしには、好きな人がいる。
名前はリオン。
誰よりも、カッコよくて、誰よりも、頼りになる。大好きな人。あたしの初恋。
彼はモテていたけど、好きな人はいなかった、と思う。だから、きっとあたしがリオンに見合う大人の女になるまで誰にも恋しないって思ってた。
それなのに!それなのにぃー!!
……あっさりあたし以外の女に恋しちゃってる。
彼女の名前はジュビア。
フェアリーテイルに所属している水の魔導師。
彼女程に最強なライバルがいるだろうか。
天然で可愛い、美人だし。それでいて戦う時は冷静で、とても強い。
悔しいが、リオンの理想ど真ん中なのかもしれない。
でも、彼女は………………
ご覧の通り、グレイ様一筋である。
あたしとリオンは今、フェアリーテイルのギルドに来ている。
一緒に依頼を受けるために。
ジュビアを振り向かせる!と息を巻いていたリオンにとても嫌な予感がしていたけど。色んな意味で。
………………どうやら的中してしまったらしい。
さっそく、グレイとリオンがケンカを始めている。しかも、かなりどうでもいい。
半々でいいじゃないとあたしは思うけど。
ここでジュビアの天然発動。
抱きつくジュビア。
いつ話し合いは終わるんだろうというのと、
リオンをここまで変えてしまった最強のライバルの出現にあたしは大きなため息をついた。
〈続く〉
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!