8/20 天気 雨
今日も雨が降っています。
外に出る予定もないから別にいいけど、気持ち的には良くないな。
試みは今日も上手くいかなかった。まるでなにかに意図的に邪魔されてるみたいで嫌な感じ。
ーー
「あなたの下の名前ご飯よ、」
「あなた、またそんな事して」
『…お母さん、ごめんね』
ソンナコト
知ってる、世間的には良くない事も、
でも、一度やったことがある人は分かるでしょ。
自分を、生きてはいけない自分を、自分の手で痛みつけてまでもしないと死にたくもないのに死んでいる人に申し訳なくて、
あの時だって、立場が逆だったらお母さんから笑顔を奪わなかったのに。
¦
8/20 天気 晴れ
ハサミ これはいつも持ち歩く事にした。
他にもいろいろ役立ちそうなものを大きなバックに入れておこう。
今日も外はよく晴れていた。
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「あいつまた謝ってやら」
「そんなに気負いしなくてもいいのに、」
「なんだかんだで責任感強い人だから仕方ないよ。」
「たしかにな」
三人 横に並んでフェンスの上でけたけた笑う
夏の風が気持ちよくて、この風の中を走れたら気持ちいだろうなぁとか思いながらいつもと変わらない話をする。
「ボクたちいつになったら転生できるの〜」
「何年もかけてって言ってたろ」
「でもでもみんな死んだ日バラバラだから年違うじゃん。」
「俺年上がいい」
「ぬっ、?! ボクたちはまた同い年に生まれ変わるんですよ!!」
「無理だろ」
「ひっどい!!夢も希望も無い人!」
ある人に伝えたいことが沢山あるから。
早く、転生したいな。
三人の気持ちは同じだった。
¦
8/29 天気 曇り
もうすぐ、夏休みが終わる。
夏休みが終わる前に、って思ってるのに焦りが行動に出て物事が上手く行かない。
あんたが邪魔してるんでしょ、
そらる。
ー
「あら、ちょっと腕見せて?」
『腕、? いいけど、』
突然私を見つめてくるからなにかと思ったら最近傷が治り始めた傷に気づいたらしい
引いても引いても、次の日には綺麗に手当されてる腕を見るとどうもやる気が起きなくなってきて少し前から刃物とはご対面していない。
そしたらなんだか、お母さんの表情に笑顔が戻ってきた気もして、嬉しかったから。
¦
8/29 晴れ
突然まふまふがそらるさんそらるさんなんて興奮した子犬ように俺を呼んだから何かと思ったら、笑顔を向けあっている二人が見えた。
少し時間をかけて丁寧に手当した腕は前みたいな真っ白で綺麗な腕に戻りつつあった。
さすがに跡は残ってはいるけど、それでも綺麗なことには変わりない。
今日も気持ちよく晴れていた。
ー
「天月くんあのね今日二人が笑ってたの!」
「えっ!ほんと! なにそれ僕も見たかった〜!」
ここ最近笑顔を見れずに、傷ばかり増えていっていたからか、そろそろかなって思って毎日朝が明けるのをドキドキしながら待っていた。
「んー、でもなんか物足りないよね」
「あ? 早く死んでこっちきてほしいって言ってんのそれ」
「あぁ、いやいやそんなそんな…ただ僕は前まであなたの下の名前の可愛い笑い声が聞こえるのが当たり前だったから、、」
「まぁまぁ、そらるさん落ち着いてくださいよ」
「あのなぁ、あいつはまだこっちに来るには早いの。」
「僕らと同い年なのに、、、」
「天月?」
「ヒェッ ごめんなさいなんでもないですそらる様。。。」
そう、確かにあいつは俺らの幼馴染で早いもくそもないけど、俺らの為に死ぬのだけは辞めて欲しいだけ。
人生を全うして、こちらに来てほしいだけなんだ。
「あいつには俺らができなかったこと全部やって欲しいの。んで、こっち来たら感想聞くんだよ。将来の為にな!」
「うぉぉ! そらるさんあったまいい!」
「当たり前だろ。頭を使え、頭を。」
「へぇ、だからずっとあなたの下の名前の邪魔してたんですね」
「邪魔じゃない。助けてたの。」
「はいはい〜」
「お前、天月。。。」
「うぁ〜ご立腹だ〜」
「ちょっと!!今空飛んだらさすがにバレる!!」
なんか今日天月が凄く腹立つ。
いつもは可愛いやつなのにこういう時だけこいつは悪魔だ。
周りのことなんざ気にせず飛んで逃げ回る天月を同じように飛んで追いかける。その後ろであわあわしながら俺らを止めようとするまふまふが居て随分と空の上はカオスだ。
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9/1 天気 晴れ
今日は二学期が始まります。
帰ってきたらお母さんとお出かけする約束をしたよ、行ってくるね。
今日は外がよく晴れて、虹が架かっています。
ー
「あなたの下の名前、気をつけてね」
『うん、行ってきます。』
いつも4人並んで歩いていた通学路。
必然的に通る三人の家。
『おはよ、行ってくるね。』
返事がかえってこないことを知っていても、
会えなくても、
いつもと変わらない。
今まで四人でいた時のように過ごす。
「行ってらっしゃい。」
『っ、』
気のせいかな、秋風に乗って、返事が返ってきたような。
少し時間に余裕があったから、もみじが良く見える道に足を運ぶ。
今はもう、雨は降っていない、曇ってもいない。
ただ、夏のように眩しい太陽が空に浮かんでいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!