…この人何て言った?
中学三年の私に「高専来い」って…
嘘でしょ、私まだ高校生なれないわよ?
言いたい事を五条さんは早口で言うと、あっ、と言う間に消えて行った。
それも、「瞬間移動」した様な感じで。
…あの人、人間なの?とてもじゃないけど人間には見えないわ。
ま、姉様に相談するのは確実何だけどね…何せ、私の家には姉さんと私しか居ない。
父様と母様は私達が幼い内に死んでしまったらしいわ。…本当かどうかは分からないけれどもね。
だって、私には父様と母様の記憶が全く無いもの。記憶喪失って可能性もあるけれどね?
余り理解出来ていない先程の事を忘れてから気持ちを変え、家の方向へ私は向かった。
暫く歩くと、草木や花が咲き乱れている屋敷が見つかる。と言っても、門の辺りは殆ど1〜2m近く背のあるオオアレチノギクやヒメムカシヨモギ、が生えてるから見えないんだけどね。
そう、此処は私達の家。
父様と母様はお金持ちだったらしくて、「草木や花が溢れる屋敷にしたかった」、と言うのを使用人から聞いた。
ま、お陰で私も花の観察を出来ているし満足してるのよね…この庭には。
門の鍵を開け、それから屋敷の扉付近に付いている小さな鐘を鳴らす。
すると、中から使用人…翠蓮が出てきて、屋敷の無駄に大きな扉を開ける。
…はぁ、凄く不便だわ。
でも、これじゃないと簡単に侵入者が来てしまうものね、父様も母様も大変だったのかしら。
…姉様が私に用か。
私も用があるし、丁度良いとは言いけれども。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。