これはある日の昼休みの廊下でのやり取り。
「瀬波先生!!私の手作りお弁当食べてください!」
「相川さん…受け取れないよ!」
「何でですかー!?」
「それに先生、お弁当ならもう持ってるから!」
「でも先生には彼女さん居ませんよね!?」
「居ないけど…お弁当と何か関係あるの?」
「彼女が作った訳じゃないんでしょ!?ほら!受け取って先生!!」
「えええ!?そんな無茶苦茶なぁ!!」
俺はアイツが気に入らない。
クラスメイトである美桜は、現文の瀬波結翔という先生に好意を寄せている。あからさま過ぎてイライラする。
なんでだよ。
アイツより俺の方が付き合いだって長いじゃないかよ。
アイツと俺だって別に、“そう顔だって変わんない”だろ。
アイツの性格が人よりずば抜けていい訳でもないし普通だ。なのになんで俺じゃないんだ?
美桜、俺はな…
お前の事がずっと好きなんだよ。
だから、こんな現場目の当たりにして黙ってられるか。
俺はコイツの背後に近付き、腕を伸ばしてそのまま弁当を取り上げた。
「ちょっと!海斗!何すんのよ!」
「うるせーんだよお前は。お前の弁当なら俺が食ってやるよ」
「なんでよ!!ちょっと!!返しなさいよ!!あんたお母さんの作ったお弁当があるでしょう!?」
「それがなんだ。成長期の俺は食べ盛りなんだよ。どっかのおっさんと比べてな」
「コラ!!待て!!」
俺は美桜の弁当を取り上げて教室へと入った。
なぁ美桜。なんでアイツなんだよ。
どうして俺じゃなくて、
よりによって“兄貴”を選ぶんだよ。
fin.
青春ですね…
お兄さん結翔が先生で、
弟の海斗は生徒。
好きな子が自分じゃなくてお兄さんに好意寄せてるとか、なんか嫌ですね…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。