こんにちは!
いつかに書いたヤンキーな話の続き書いてみたんでお楽しみあれー🌟
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鈴原くんと付き合う事になったは良いものの、私の日常生活に何も変化なんてない。
月曜日に付き合い出して、
火曜日、鈴原くんに会いに教室に行こうとするも、勇気が出ず退散
水曜日、鈴原くんは学校をバックレした為お休み。
木曜日、やっとこさ話しかけに行くも、席で寝てた為退散。
で、今日。金曜日を迎えた。
「愛花、大丈夫?」
と、同じクラスの友達の舞が言った。
「いや、大丈夫じゃない!何なの?私、彼女になったんだよね!?」
腹が立つのは、向こうは私に全くアクションを掛けてこないという事だ。
「私の返事OKにした事忘れてんじゃない!?」
「落ち着いて愛花!まだそうと決まった訳じゃないよ!」
舞はそう言ってくれたが、今日も結局何も起こらぬまま昼休みまで過ぎた。お弁当を食べながらぼんやりと外を見ると、
「あ…」
外には不良4人組“四天王”がいて、中庭ではしゃいでいるのが見えた。
「……何よ。楽しそうにしちゃって」
と私。舞は言った。
「思ったんだけど、2人って連絡先交換してないの?」
「そう。それ、月曜日に家帰った後に思った。なんであの時聞かなかったのかって未だに後悔してる」
連絡先さえ知っていれば、呼び出すことだって出来た。別に、ここから叫んで手を振ってみるのも手だけど、鈴原くんと付き合ってる事が広まった時に周りからどう反応されるかが怖いため、そんな大っぴらなアクションは出来ない。それに、「鈴原と付き合ってんの!?」って、他の四天王の人達におちょくられるようになったりしても嫌だ。
そういう覚悟も出来てない状態で告白するなんて、私は馬鹿だったな。
「鈴原くんの中で、あの時のことはもう無かった事になってるのかな?」
「んーーー。全く分からんね…」
それから放課後。
たまたま鈴原くんと廊下でばったり。
鈴原くんと目が合った私は、こっそり手招きをした。
鈴原くんは私の素振りを見て、「ん?俺?」と言うような顔で自分の顔を指さす。
うん。と頷いた私は、そのまま何も言わずに後ろに戻り、階段を上って踊り場までやって来た。ここは人通りのない所だから、誰にも見られないで済むだろう。
そして、彼はちゃんと私に着いて来てくれて、
「何?」
佇まいは凄くだるそうだったけど、2人きりになった時にそう声をかけてきた。ポケットに手を突っ込み、
「……あ、あのさ鈴原くん。月曜日の事、覚えてる?」
「は?」
と言って眉を顰める鈴原くん。嘘でしょ?やっぱり覚えてない!?彼のその反応に悪い意味でドキッとした私は、
「……付き合う事になったの……覚えてないの?」
と尋ねた。それを私に言われて初めて鈴原くんは、
「あぁ……言ったわ」
と返してきた。どうやら本当に忘れていたそうだ。私は鈴原くんの事が好きではあるけど、こんなに温度差があるのなら、付き合っても意味が無い気もしてきた。なので私は鈴原くんに恐る恐るこう尋ねた。
「い、今なら…その時の会話、無かったことにしても良いよ。なんか、鈴原くんに悪いし」
すると鈴原くんは、
「めんどくせー」
と言った。凍り付くような気持ちになった私は、鈴原くんの顔が一切見れなくなった。
最初から無理だったんだ。鈴原くんと付き合うのなんて。ダメだな。普通に考えてこの彼と両想いになれるなんて無理じゃんね。こんな事なら勢いで告白するんじゃなかった。
鈴原くんは言った。
「そんな、思ってもないようなこと言うな」
「え…?」
それは、思ってた返しと違うもの。しかも鈴原くんは、
「悪い。慣れてねぇんだ。こーゆーの」
と、私に謝ってきた。意外だった。チャラ男で有名な鈴原くんが慣れてないだなんて。
「え……あぁ……」
鈴原くんは少し口を尖らして、眉間にシワを寄せる。そしてこう尋ねてきた。
「あのさ。お前、平澤であってるっけ」
「あぁ、うん」
出来れば下の名前で呼んで欲しい所だけど、そんな贅沢は私からはとてもじゃないけど言えない。彼は私の返事を聞いた後に、
「そうか。で、何すりゃ良いんだ?」
と聞いてきた。鈴原くん、そんなに恋愛の事が分からないのかな?とはいえ私も付き合うのは初めてなんだけど……。
そこで私は、連絡先を聞くことにした。
「LINE……交換したい……」
「あぁ、そっか。まずはそこからか」
と言って、QRコードを出してきてくれた。
「ありがとう」
それから交換を終えた後に、
「鈴原くん、女の子慣れしてると思った」
と言うと、
「“セフレ”と彼女はまた勝手が違うだろ」
と言う衝撃的な言葉が返ってきた。
「え!?」
どうやらこの人、セフレがたくさんいるみたい。セフレってそもそも、“あーゆー事する友達”って事であってるよね?彼がチャラ男なのは噂で聞いていたから構えは出来てたけど、いざそんなダイレクトなことを言われると、さすがにショックだ。
「……そんなにたくさんいるの?」
「うーん、まぁそんなとこ?」
「それは何?この学校内?それとも他校!?年上!?」
鈴原くんに気付けば質問攻めしていた私。そんな事していたらため息をつかれてしまった。
「あぁ、なんかごめん」
でも、そんな鈴原くんがどうして私と付き合う事を決めてくれたのだろうか。
変な話、セフレ達がたくさんいるのなら、その中から彼女として付き合う人を選んだりする事も出来たはずだ。そうしてこなかったのは何故なのかが凄く気になった。
それに、セフレがいるということは……。この人、私と付き合った所でその人達との関係を断ち切らず、そのまま会い続けるんじゃないかな?
でも、そこまで聞く勇気が出ない。
鈴原くんはスマホをポケットに入れると、
「じゃあ、そういう事で」
と言って、踊り場を去ろうとした。
「す、鈴原くん!」
私は彼の名前を呼ぶだけで精一杯だった。でも、このまま帰らせてしまったら、また何も無い日常に戻ってしまいそうだったので、何とかして止めた。
「何?」
と振り返りピタっと止まった彼。
「……夜とか、電話しても良い?」
「……あぁ……良いけど?」
どうにか1つ約束を取り付けられた私は、今日の夜22時に彼に電話をした。
その時の彼の声は意外と優しい声で、なんだか安心もした。
そこでこんな事を聞かれた。
「念の為聞くけど……なんで俺なの?」
心臓が止まるかと思った。
「え……えっと……」
早く言えよって催促されるかと思った。でも電話での鈴原くんはそんな事は全く無くて、私が答えるまで待っていてくれた。
勇気を振り絞って、本心を話した。
「鈴原くんがどんな人なのか……最近凄く気になっていたの」
「……え?」
「鈴原くんは一見怖い感じだけど……でも、前だって自動販売機で助けてくれたりしてくれたし」
「そんな事したっけ」
「あぁ、覚えてないなら良いんだけど……。それに、1人でいる時はなんだろう……大人しくて、普段とのギャップがあったから驚いたの。そしたら気が付いたら……って感じだった」
「ふーん……」
興味無いのかな?って思ったけど、特に突き放された感じはなくて、
「そっか」
むしろ、どこか温かさを感じだ。
「まぁいいや。とにかくよろしくな平澤」
「あぁ、うん。こちらこそ……」
今日の電話はこんな感じに終わったけど、休み明けにまさかの出来事が。
「おい」
登校時、校門の所で彼から声をかけられ、腕を引かれたの。
「す、鈴原くん!?」
「よぉ」
どうやら、私の事を待っていたらしい。
私よりも早くにここに居たことにも驚いた。
「どうしたの?」
と問いかけると、こんな事を言われた。
「あのさ、学校であまりに一緒にいると、周りの奴らがガヤガヤうっせーからさ、校内じゃ俺らの関係内緒にしてて欲しいんだよね。騒がれんの鬱陶しくて嫌いなんだ」
「あ…あぁ、それは別に構わないけど……」
「OK。その話飲んでくれんなら助かるわ」
と言って鈴原くんは少しニッと笑った後、
「じゃあね、また」
私の頭をポンと触り、先に校門をくぐって行った。
もうヤダ……
たった一瞬触って貰えただけなのにこんなにドキドキするなんて。
今私がしているようなこのドキドキを、いつか鈴原くんにも感じて貰えるようなそんな彼女になりたい。
鈴原くん。私頑張るから。
fin.
なんか、ヤンキー話連載するのもアリかもと思えてきた今日この頃の俺。w
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。