碧くんは優しい。優し過ぎるよ。
彼氏と別れてボロボロな心の私の事を、泣き止むまでずっと抱きしめてくれてさ。
大丈夫。
大丈夫だよ。
俺がいるからって温かい言葉を掛けてくれてさ。
「あぁあ。私、好きになる人間違えたなぁ。碧くんの事好きになれば良かった」
なんて言ったらその後、
2人して見つめ合って、
気が付いたらキスしてた。
きっとこれは慰めのキス。
私からは寂しいのキス。
それに碧くんは私の事が絶対に好きじゃない。
好きになる訳ない。
だって、
碧くんの恋愛対象は、男性だから。
でも、私はこの日の事を後悔した。
その日以来ずっと碧くんに目線が行っちゃって、日に日に碧くんの事で頭がいっぱいになっていった。
ヤダ。認めたくない。
碧くんの事を好きになったなんて、そんなの認めたくない。
ねぇ碧くん。
どうしてあの日、私にキスしてくれたの…?
end
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。