こんな感じで、私は貴久先輩と付き合うようになったけど、上手くはいかなかった…。
そう言われてただ頷くことしかできなかったのは付き合い始めて6ヶ月後のことだった。
嫌だって言えば良かったのかもしれない。
追いかければ良かったのかもしれない。
でも、私にそれはできなかった。
今まで迷惑かけてきたから、
もうこれ以上迷惑はかけたくなかったから。
私は何もできなかった。
たくさん泣いた。
何がいけなかったのか分からなかった。
私が貴久先輩に何もしてあげられなかったことだけは自分でも分かっていた_____
でも、そんな私と6ヶ月も付き合ってくれていた貴久先輩には感謝した。
なにもできなかった。
貴久先輩の大切な中学生という時間を私は無駄にしてしまった。
だから、私は貴久先輩に感謝した。
ありがとう、ありがとうって
口には出せなかったけど、
言葉にできなかったけど、
心の中で何度も何度も
叫んだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。