今回はちょっとホラー要素あるよ☆
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理科室は昼間よりも不気味で、いつもは気にしない棚に並んだホルマリン漬けも、今はいっそう不気味さを演出させている。
理科室は真ん中に机が3×3の数で設置されていて、その周りの壁際に実験道具やその他のものが置いてある。
でも、人体模型や骨格標本はあまり使わないからいつもは準備室に置いてあった。
お目当ての人体模型を見る前に、軽く理科室を見て回ることにした。
もしかしたら人体模型以外にもなにかあったり…
まぁそんなこと無かったんだがな!!(´;ω;`)
いつもより不気味、というだけで何も無かった。
仕方ないので準備室の前に足を運ぶ。
ドアノブに手をかけ、一気に開け放った。
それと同時にごちゃごちゃとした理科準備室の全貌が見えた。
棚の中には薬品やスプレー缶みたいなのがごちゃごちゃになって入っていて、更にガラクタの山みたいなのもあって足の踏み場があまり無かった。
しかし、次の瞬間にはそんな事どうでもよくなった。
見つけたのだ。
…お目当ての、人体模型を。
コウが人体模型に触れて調べようとした、次の瞬間──
ガシッ
気がついたら、コウが人体模型に掴まれて、動けない状態にされていた。
思考が止まる。
なんで?
七不思議だから?
それが本物だったから?
なんで?
どうするの?
コウがどんなに暴れても、人体模型はコウを離そうとしない。
暴れた衝撃で、人体模型の内臓がポロポロと落ちていく。
コウの腕が引っ張られている。
それも、いろんな方向から、試行錯誤するように。
まるで……
人体模型が、コウの腕を欲しがっているかのように。
逃げなきゃ。
逃げないと。
逃げないと次は…
わかっていても、足が震えたまま動いてくれない。
それに、コウを置いて行けない。
こうして悩んでいる間にも、コウはずっと右腕を引っ張り続けられている。
突然だった。
ビックリして腰が抜けた。
コウは人体模型の力に対抗するべく、全身に力を入れて踏ん張り時間稼ぎをしてくれていた。
逃げなきゃ。
腰が抜けていて立てなかったので、這ってでも逃げ出そうとした。
理科準備室から出たあとに体制を立て直し、理科室から全力疾走で駆け出した。
理科室から出るまで、コウの叫び声は響き渡っていて…
その後は逃げるのに必死だったから、覚えていない。
──俺は、最低な事をしてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!