全て洗いざらい吐かされてしまった。
重いため息を付き、圧を感じる。
その状態がかれこれ十分ほど続いているのは言わない方が良いかもしれない
最初に口を開いたのは、紅丸だった
その声は、いつもの彼とは違う声だった。
怒りとも悲しみとも違う。
どこか寂しそうで、どこか、激怒しているような。
町の皆に心配かけることになるかもしれない
それがどうしても嫌な響は、言わない方が特だと感じた。
だけどそれが、紅丸にとっては重荷だったのだ。
誰よりも大事な人が、影で大変な事になっていたら
なんて事も考えてしまう。
そんな毎日が辛いのだ。
こうやって、紅丸に怒られるのは初めてな響。
素直に謝っても許してはくれないだろう。
ギュッと、力強い抱擁を無理矢理してくる。
だけど、響はそれを拒む気はない。
耳元で小さく
と、か細く呟いた。
震えた声で、響は答えた
安心したような声で、紅丸はそう言った。
そして、響から離れようとした瞬間
響が力を強める。
紅丸は困惑して、どうすれば良いのか分からなかったが、次の言葉に目を見開く
さっきの紅丸の声よりも小さく呟いた。
段々頬に朱がさしていく。
フッと笑い、紅丸も響を抱き締めた
とある日
結局、詰所の「隣」に引っ越す事になった。
仕事も暫く休止、響はほぼ紅丸にお世話になる形に…。
やはり言ったらこうなったと、ため息をついたりするが、存外嬉しそうである
むに
むに
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。