教室にて
『あの人意味分からない……。』
「まぁ、仕方ないんじゃないの。及川さんの事好きなんだと思う」
『え、だってファンってマネージャー出来ないんじゃ?』
教室で英くんと話している。
前の事は出来るだけ忘れて今は仲良くしてる
「まぁ、口ではどうとでも言えるからね。さっきのもあった通り」
『そっかー、あと英くんさっきはありがとう』
「惚れた?」
『えっ、いや、え?』
「冗談、冗談」
ケラケラと笑う英くん。
正直、初めて私の前で笑った気がする。
『英くん、笑った顔かっこいいね』
「え」
『これは冗談じゃないよ~』
「はぁ、すぐそういうこと言う
あなたって人間は羞恥心ってもんを持ってないのかな?」
『えっ、そんなに?』
「絶対…………て………な」(ボソッ
『何て言ったか聞こえないよ!!』
「聞こえなくていい。むしろ聞くな」
『えー、気になる』
「まぁそろそろ席つかないと怒られるよ」
『あ、こんな時間か
って席隣なんだから平気でしょッ』
「まぁ、席つくだけ 着いときなよ」
『はーい』
「あなたは金田一のこと好きなの?」
『えっ、んー。今は好きな人はいないよ』
「ふーん」
『英くんは?』
「いるよ」
『いるの!?』
バンッと机を叩いたせいでクラスのみんなの視線が集まる。
「えー、何?何?恋ばなでもしてたの?」
「うそー、国見くん好きな人いるの?誰だ」
「ちょっとあなたどうしてくれんの
めんどくさいことになっちゃったじゃん」
『ご、ごめん英くん……。』
「まぁいいけど」
頭をポンッとやさしく叩かれる
「もうやめてね。」
『うん、ごめん
あとさ、朝のことなんだけど』
「あー、あの先輩?」
『うん、英くんはなんであの人が及川さんのファンだって分かったの?』
「だってそりゃ、あんなに及川さん及川さん言ってたら何となく分かるでしょ」
『うーん、そっか。
私多分嫌われてるよね』
「まぁ、及川さんのお気に入りだしね」(ボソッ
『ん?何て言った?』
「いや、あの人は他の女子は敵みたいな性格じゃんって」
『たしかに……。』
「相当ちやほやされて生きてきたんだろうね」
『そうだね……』
その後クラスでは、先生が来るまで英くんの好きな人が誰かと言う話があちらこちらで行われていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!