第3話

#2 連れて行ってよ!
46
2018/08/15 08:48
 昨日は色んなことがあった。さすがの俺でも疲れる。そう思いながらも玄関で靴を履く。
いってきます
いってらっしゃい!
行ってらっしゃい
 父さんと晃にそう言い、家を出た。今日は朝練がないため、昨日よりも少し遅めに家を出た。すると、隣の家から運悪く花恋が出てきた。
花恋
あっ!おはよー!光!
あっ、おはよ
花恋
えっ、誰に言ってるのー?
誰々!?
お、お前だし
花恋
お前ってだれー?
だっ、だから!花恋にだよ!
花恋
あっ、言ってくれた~(笑)
 カップルでもあるまいし、朝からこんな会話はしたくない。できれば話したくもない。しかし、ここは従わないと晒されては困る。
花恋
なんか、今日は七夕のなんかあるらしいね!
光は何をお願いするのー?
え、そんなの聞いてないけど……。
てゆか、願い事あってもお前には言わねーけどな!
花恋
なにそれ!(笑)
私は、昨日先生に聞いたの
そうなんだ-。心の中で言ってみた。でも、何を願おう…。別にこれと言ったことはないしな-。
花恋
おーい!光!聞いてるの!?
あっ、なに?(笑)
花恋
もういいよ!私のは後のお楽しみで!
おう?
 そして、今日の2時限目には花恋が言っていたように、七夕に何を願うかという小学校のような内容だった。
担任
じゃあ、できた人から廊下の笹に付けておいて、終わったら自習な!
夏希
なぁ、光~、お前何願い事にするのー?
俺?俺はそんな決めてないけど……
夏希
あっ、まじでー?俺はもう決めた!
えっ、何?
夏希
えーと、織姫と彦星がちゃんと出会えますように-かな?
はぁ?なにそのロマンティック的なやつ(笑)引くわ(笑)
夏希
おい!笑うなよ!ちゃーんと、女子の目とか伺った結果なんだから!
 やっぱり、モテるやつは違うな!と思いながら自分のを考え始める……。どうしよう…。
夏希
えーと、光は~-。
好きな子ができますように!とか?(笑)
はぁ!?お前っ-。何言ってんだよ!そんなの思わねーし、願わねーから!
花恋
えっ、何なにー?
光って好きな子できたことないの?(笑)
うわっ、よりによってこいつに聞かれるとか……、ついてなさすぎる。
夏希
そうなんだよね~!(笑)
足立さんは何願うの?
花恋
えーと、秘密!
言ったら叶わなくなりそーじゃん!(笑)
うるさい……、もう2人で静かに喋って……、俺だって真剣に考えてるから……
夏希
あー、ごめんな?ヤキモチ妬いちゃった?
いや!ないから!
 まじで、この2人のセットは強烈すぎる、疲れる。早く席替えしたい。
夏希
じゃあ、俺、飾ってくるわ!
おう-。
女子
あっ、夏希くーん!
夏希くんは何お願いしたのー?
夏希
えーっ?それは秘密~!
知りたいなら飾ってくるからそれ見てよ~
花恋
うわぁー、蒼井くんってモテるんだね~!
光も嫉妬でしょー?(笑)
うんうん!ドンマイドンマイ!
うるさい……
 花恋の言う通りだ。確かにちょっと嫉妬することもある。でも、憧れはしない。俺はもうちょっと運命的な-。
夏希
はぁー、つかれた!
女の子達がみんな俺に飾ってって頼んでくるから全部やってきたら……ほんとつかれた!
花恋
ははっ、おつかれ(笑)
 なんだよこいつ、頼んでもらえるだけいいじゃねーか……。ほんと持ち腐れが!
夏希
あーっ!今、光、俺に嫉妬してたでしょ!
でもー、俺は運命的な方がいいなぁーとか?
はぁっ!?そんなこと思ってるわけ-。
夏希
あー、わかったわかった。書くの恥ずかしいんだろ?俺が書いてやるよ!(笑)
お、おまっ!待てよ!もう-。
花恋
そうなんだ?(笑)
じゃあ、私と運命的な関係なっちゃう?
いや、遠慮!
花恋
でも私、願い事に誰かさんがこの夏、私に付き合ってくれますように!って書いたよ?
 えっ、まさかこいつ……。
花恋
ね?光!
はぁっ!?やだよ!
花恋
もちろんタダでとは言わないよ?
私が光の言うこと3つ聞いてあげる!
んー、じゃあわかったよ。
花恋
あ!ただし、却下とかのお願いは聞かないからね!
わかったって!
あー、まじかー、しんどー…。もっとこう、お互い惹かれ合うような出会い方がしたかったな。とか考えるけど、しょうがない。


考えているうちに2時限目が終わった。


次の日。【7.7】


今日は土曜日。珍しく部活もないから今日はずっと家でゲームをするつもりでいた。ゲームっていうのは今流行っている、【personality origin】というモバイルゲーム。日本語で言うと、【人格起源】色んな死んだキャラクターがいてそのキャラクター達の原点とか探すゲームだ。最近自分の中でハマっている。


そのゲームを開いた瞬間-。

家のインターホンがなった。


誰だろう?そう思って、玄関のドアを開けてみる。
は?
花恋
やっほー!光!何してたー?
ゲームしてたの!!!
花恋
あーそうなんだ!
急だけど今から付き合ってよ!
はぁっ!?
何すんの?
花恋
えーと、この格好見てわかんない?
 いや、分からない。白いワンピースにキャップ何となく、花恋のギャップが感じられる。
花恋
このワンピースはお母さんが昨日買ってきてくれたんだけど、白くて可愛いから、今から海行こー!
え?そんなん女子誘えばいいじゃん
花恋
いやー、まだ連絡先交換してなくて…。
じゃあなんで今日部活ないってわかったんだよ
花恋
それはー!
昨日夏希くんが交換しよって言ってきたから、交換して、そのついでに聞いたの!
えー、でもやだよ、今日はゲーム-。
花恋
拒否る権利はないんだから!
ほら!行くよ!
えっ!?はぁ!?
 なにも準備してないのに、花恋が俺の腕を引っ張ってきて、俺は無理やり外に出される。
兄ちゃん行ってらっしゃーい!
お昼はー?どうするの?
花恋
あっ!弟くん!私が奢るから心配しないで!
わかったー!
え、何お前勝手に!
花恋
大丈夫!メールでお母さんに言っておいたから!弟くん、ご飯誘ってあげてって
え、でもあいつ……。
花恋
うん!それは光がメールで弟くんに言っといて!
わかったよ……。
 手を引かれること数分、急に花恋が止まった。
花恋
えーと、海ってどこだっけ?(笑)
はぁ?えーと、ここから歩いて15分。
花恋
おっけー!じゃあ連れてって!
あー、わかったよ!
 また腕を引かれて俺は花恋に誘拐されるような形で海に行くことになった。

プリ小説オーディオドラマ