第23話
二十話
私達は最初から吸血鬼だった。
産まれて来た時からずっと。
気が付くと、そこは薄暗い森の中だった。
隣には…
この少女を知らないはずなのに勝手に動き言葉を発する。
もしかすると、本当に私の姉なのだろうか。
しかし…顔立ちがよく似ている。
これは、姉妹を確定付けるものだろう。
あぁ、やはりこの少女も私の事を知っている。
目覚めた時には自分の情報は何故か知っている。
だが、この少女の事は知らない。
だが、姉さんと呼んでしまう。
何故だ?
いや、どうでもいい。
面倒くさい。
知りたくもない。
それは、姉さんも同じの様で。
楽しそうに蝶々を見つめている。
あぁ…不吉な蝶だ。
真紅で…まるで血のようだ。
口が勝手に…。
お腹が空いたのは事実だ。
だが、姉さんにそれを言う事はない。
別に言ったってお腹が満たされる事はないんだから。
そう…だね…。
幼い私達は、これから…4万以上の人間を殺す事を知らなかった。
たしかに…流石に毎日人間を3食…400年間も続けたらそうだ。
しかも不味い。
けど、食べないと、血を吸わないと私達が死んでしまう。
……こんな生活をずっと続けるのは嫌だ。
私は400年経った今でも姉さんの事は少しも分かっていない。
何で、姉さんなんだろう…。
勝手に口が動いてしまうのは何故だろう…。
私達はその後の数日間本当に人間を食べなかった。
それで良い。
そう…思っていた。
けど、その瞬間…
突然目眩がして…
貧血かと思ったけど違った。
気が付くとこの殺し合いに参加していたのだから。
辺りを見回すと仲の良さそうな双子ばかり。
私達は…?
仲が良いの…?
いや、仲が良いはずはない。
これは、強制的な双子。
勝手に口が動くんだもの。
私達に双子愛なんて無い_____。
……以心伝心だね。
犠牲者:ぺぺ&ピピ