今日は、悪い夢を見た。
朝の支度をして、誰もいない部屋にそう告げて家を出た。
今日は、新しい学校に転校する日だ。
今回だって、誰かと仲良くするつもりなんてない。
そんなどうでもいいことを考えていたら、学校に着いたようだった。
職員室に行き、担任の先生と話をしていたら、学活が始まる時間になっていた。
私は、それだけ言って先生の後に続いた。
教室は、思っていた以上に騒がしかった。
「それじゃぁ、学活を始めるぞー。先につけー。」
先生の一言で学活が始まったみたいだった。
先生がそう言うと、クラスの大半が口を開いた。
そう言われたので、私は教室に入った。
その瞬間、クラス全員が黙った。
何故かは分からないが……。
その後も沈黙が続いた。
最初に口を開いたのは、桃色の髪の女の子だった。
それをきっかけに色々な人が口を開いた。
私にとって席なんてどこでもいい。
先生が指したのは、窓際の1番後ろの席。
どこだろうと変わらない。
私が席に着いたのを確認すると、先生はこう言った。
「仲良くしてやれ」
と。
先生はそう言ったけど、私は仲良くするつもりなんてない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!