緊張感漂う教室から出た3人は、美術室にいた。
先程とは違い、一気に子供らしくなった黒田は、一生懸命怒りを表している。
段々と自信が無くなってきたのか、言い切ることができない信長。
息継ぎもままならない質問に、信長はだんまりのままだ。
黒田もそんな信長に呆れ、ため息が出る。
痺れを切らした黒田は、苛立ち収まらないまま、美術室を出ていった。
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家康に文句を言うも、圧をかけられた井伊直政。
俯いて中庭を歩いていると、進行方向に人が現れた。
親戚で、結構付き合いは長いあなただった。
頭を人差し指で叩いた。
「そして」と続ける。
あと、家康が見舞いだと持ってきたモップ。あれの用意が早すぎたとも感じたのだが、理由としては十分だと話すのは止めた。
直政は、こいつはチクることも、責めることもないだろう。そう思って、背を向けた。
あなたが名前を呼んだので、振り返る。
少し間をとって、何も言わずにそこから立ち去った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。