黒田に肩を置かれた秀吉は心底驚いたと同時に、気付いたように言った。
確かに、現在1位で家康より上にいるあなたが、今日は姿を見せていないのだ。
気の毒に思いながら、秀吉は選択肢が自分に絞られたことを感じた。
そして、黒田の言う作戦はこうだった。
例えば真田が秀吉を倒すという旗印を出して勝つ。
すると真田は60ポイント獲得する。
負けた秀吉は、挑戦を受けた側だから損はない。
次は、伊達が秀吉を、信長は真田を倒すという旗印を出し、それぞれ挑戦者が勝つ。
このように特進クラス同士で戦を繰り返していけば、ポイントが倍々で増えていき、家康の208ポイントを上回ることができる。
そうすれば、家康は指名せざるを得ない。
打って変わって団結という雰囲気になる。
微妙な雰囲気だったが、みやびの拍手で皆もつられて拍手喝采の結果になった。
そして「PBB作戦」が始動。
秀吉対真田幸村、クイズ対決。
毛利対榊原、あっち向いてホイ。
本多対今川、椅子取りゲーム。
見事順調…の、はずだった。
井伊対龍造寺の俳句対決。
勝ち役は井伊。
しかし、
先に部屋で待っていると後ろから殴られたというのだ。
気配は無かったらしいので、バタバタと動く龍造寺には無理だ。
脳裏に浮かぶ人物はただ一人。
危機感を感じた家康が、作戦を阻止しようとしている。
その結論に至り、本多が憤りを感じているとき、信長は井伊のことをじっと見つめていた。
と、家康が保健室へ入ってきた。
井伊に"モップ見舞い"を投げつける。
掃除機モノマネを披露したあと、久しぶりに明智が姿を見せた。
その後、家康がPBB作戦を読んでいたこと。
井伊を殴ったのは"裏切り者"だということ。
そしてそれは特進クラスの中に紛れていることを告げ、家康は保健室を出ていった。
一部始終を見ていた特進教室も、裏切り者と聞いてざわめき出す。
ドアにもたれて見届けた黒田は、一旦離れて廊下歩き始める。
窓から気付くと、急ぎ足で下へ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。