なにこのおうち…
男の人に引っ張られついて行った先は結構な豪邸で
ま、まさかすっごいお金持ちみたいな…?
私腎臓とか売られないよね!?
なんて変な想像をして立ち止まっていると
前にいた男の人が振り向く
“ ほら、入れよ ”
“ あ…え、 お、邪魔します… ”
とりあえず私は玄関の中に足を踏み入れる
うわあ…
広っ… しかもめっちゃ綺麗
“ ただいま ”
立ち止まっている私とは反対に
男の人はズカズカと中に入っていく
“ ユンギヒョン〜!遅かったですね ”
その声にピタリと動きが止まる
一人じゃ…ない…?
いや逆にこんな大きい家に一人暮らしの方がおかしな話だ
だけどまだ他にも男性がいることを知り頭がぐるぐると嫌なことを考える
物心つく時には優しい人なんか周りにいなくて殴られる毎日だったから
人が怖い 特に男性が
どうしよう、どうしよう
もしかしたらこの人たちも私に暴力を振るうかも
怖くて怖くて無意識に膝の上で拳を ぎゅっ と握り締めていた
“ お前立ち止まるの何回目だよ、笑 ”
その声で我に返る
“ ヒョン 誰と話してるんですか? ”
“ んー、お客? ”
そう笑って男の人は私のもとに戻ってくる
“ わ、 ”
急に腕を掴まれて肩に力が入る
だけどその手は優しく感じて
“ 大丈夫だから ”
って優しく囁いてくれてだんだんと体の力が抜ける
強引だけどどこか優しさがあって
私はそのまま中に連れていかれる
“ 拾った ”
“ “ “ はあ!? ” ” ”
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!