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第2話

恋って難しい
茜は、中学一年の冬、天羽塾に通い始めた。


私とは学校こそ違ったけれど、塾の教室が同じでよく話すようになって、仲良くなった。


当時の私は、塾長たちの娘ということと奥手な性格が相まって、塾でも孤立していて。


茜は「栞は栞。塾長たちとは関係なく、私が仲良くなりたいから話しかけた」と言ってくれて、とても嬉しかった。


そんな彼女が、私の恋心に気付くのも時間の問題で、いつも応援してくれていた。


どうして茜が類さんを好きになったのか、それについても今日の昼間、大学で聞いてきた。
敷島 茜
敷島 茜
栞が類さんに惹かれる理由は、頭では分かってたんだ。
あんな優しい人、なかなか居ないし……。
あ、二人がうまくいくといいなってずっと思ってたのは本当だよ!
天羽 栞
天羽 栞
……うん。
それは私も疑ってないよ。
何かきっかけが……あったんだ?

私も茜も、高校生まで塾に通っていて、当時既に講師だった類さんからも直接教わっている。


だから、茜にも類さんと関わることはあったのだけれど、大学生になってからは、会う機会は激減していたはずだ。


茜は頷いて、アルバイト先に類さんが来るようになった話を始めた。
敷島 茜
敷島 茜
去年の秋から……。
類さんが、塾の同僚にって差し入れのコーヒーをよく買いに来るようになって
天羽 栞
天羽 栞
……!

そのきっかけを作ったのは、私だ。


私も同じように差し入れを買って来たとき、茜がコーヒーショップでバイトしていることを、類さんに言った。
敷島 茜
敷島 茜
前ほど、ほら……生徒と講師みたいな関係じゃなくなったし。
砕けて話せるようになってさ。
なんか、些細なことなんだけど、『頑張れ』とか『いつも笑顔がいいね』とか言われると……
天羽 栞
天羽 栞
気付いたら、好きになってた?
敷島 茜
敷島 茜
……うん。
どうしようもなく

気分は重くなるばかりなのに、茜のそんな気持ちも共感できてしまう。


私も、同じように彼のことが好きだから。
敷島 茜
敷島 茜
もしかしたら新しい恋が見つかるかなって、一年は待ってみたけど。
栞を応援してて胸が痛いし……やっぱり、諦めきれなかった

そう言う茜の目尻は、うっすらと赤くなっていた。


きっと今日、私に言う前に相当泣いていたんだろう。

敷島 茜
敷島 茜
栞に言おうかどうかすごく悩んだ。
でも栞に黙ったまま、類さんに告白するのはなんか違うと思って……

茜の声は震えていて、今にも泣き出しそうだった。


もしも、私が茜の立場だったら、どう思ってどう行動するだろう。


想像してみると胸が痛くて、答えはすぐに出ない。


でも、彼女の思いやりに私は感謝すべきだということだけ、分かった。

敷島 茜
敷島 茜
栞、やっぱり嫌だよね……。
ごめん……
天羽 栞
天羽 栞
謝らないでよ。
確かにびっくりしてるけど、教えてもらえてよかった。
茜の気持ち、受け止める。
ありがとう
敷島 茜
敷島 茜
ほんと?
よ、よかった……

茜は涙を滲ませたまま、私に抱きついた。


私への複雑な思いを、茜は一年も持て余して悩んでいたのだ。


私は今、類さんにとって特別な存在でも何でもないわけで、彼女を責めることは絶対にしない。
敷島 茜
敷島 茜
あっ!
でも、私は栞を牽制したいとか、そういうことを思ってるんじゃなくて。
お互いに気を遣って身を引くってのだけは、なしにしない?
天羽 栞
天羽 栞
え?
敷島 茜
敷島 茜
類さんの恋人になれるよう、どっちも頑張るってこと
天羽 栞
天羽 栞
……うん

茜の提案に、頷いた。


これからは、弱気なことは言ってられない。


好きな人を渡したくないなら、現状を変えなければいけないのだ。


それでも、親友と好きな人が被ってしまうのは、精神的に辛かった。

天羽 栞
天羽 栞
(恋愛って難しい……)

まだ誰とも交際経験のない私は、恋がどんなものかも、分かっていないのかもしれない。


【第3話へ続く】