え…。坂本さんは編集の方じゃない…?
じゃああの写真は…?
意味が分からなかった、でも、こんなこと言えない、坂本さんに犯されてるなんて…。
たとえ、のぞみがなくったって、絶対に俺のことを好きになってくれなくても、
テオくんの事が好きなんだもん…
好きになっちゃったんだもん…
そう言われて少し安心した、気がした…
でも、そんな時でもあの大っ嫌いな奴の言葉を思い出す。
「俺に逆らえるとか思うなよ?」
テオくんは怒ったような、悲しそうな…
そんな表情をしていた。
そういって俺はいつものホテルに行った。
そしていつもの番号の部屋で
いつもの風呂に入って、
いつものように…
ドンッ
その瞬間、息を上げたテオくんがホテルのドアを勢いよく開けた、、
テオくん…なんでここにいるの?
なんで?
嫌だ…
俺はいてもたってもいられず、ホテルの部屋を勢いよくかけ出した。
そんな心配するテオくんの声も、軽蔑の声に聞こえた…。
分かってた。俺がテオくんと付き合えるなんて、そんな希望持ってた俺が悪かった。
そもそも太陽のような存在のテオくんとそれに隠れる影のような存在が付き合えるはずがない。
俺は意味もなくひたすら走った。
着いた場所はあの、テオくんとの思い出の場所だった。
その場所は余計に悲しさを感じられるように思えた。
テオくんが助けてくれる…
そんなこと思ってた。
でもそんなはず無かった。
テオくんは俺のことを別に好きじゃない。
女の子が、好きなんだろ?
俺なんかじゃなくて…
俺なんて所詮ビジネスパートナーなんだろ?
俺の所なんて来るなよ…
期待しちゃうんだよ…俺…
テオくん!???
テオくんの顔すら見たくなかった…。
俺はテオくんから逃げるように立ち上がり去ろうとした、
そんな俺の腕をテオくんはガシッと掴んだ。
そうだよね、俺はなにも叶わないテオくんに、かっこよさだって、足の速さだって、いつだってテオくんの方が上だよね。
そういってテオくんは俺を力強く抱きしめた。
久しぶりに触れたテオくんはとても暖かくて、やさしくて、やっぱり太陽のようだった。
嬉しかった、言葉が上手く返せなかった。
え…?じゃあ俺はあいつに騙されてたという事…?
そうやって俺とテオくんはまるで子供のように泣きわめいた。
俺はテオくんのことが好きなんだもん。
そんな事言えるはずがない。
相方だもん。相方じゃなくて恋人だったら…
テオくんは少し怒ったようにそう言った。
俺はその言葉の意味がよく分からなかった。
テオくんは女の子が好き。そうでしょ?
嬉しかった。素直に。
テオくんがそんな風に思ってくれてるなんて…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。