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第5話

イケメンその4:???
 あろうことか先輩は、不審者に向かって叫んだ。
果南
えっ、ちょ、
朋也
来いと言っているだろう。聞こえないのかな?
 そんなんで来るはずがない……と思ったんだけど。
 何と不審者は、こそこそとこっちに近づいてきた。嘘でしょ!?
 そいつは私たちの前まで来て立ち止まった。すっごいびくびくしてる。当たり前か。
 どうするんだろうと思って先輩を見ると、先輩はそいつのフードを勢いよく剥ぎ、眼鏡を取り上げた。
??
あっ!
朋也
やっぱりお前か
 不審者の顔を見て、私はびっくりして口が開きっぱなしになった。
 フードと眼鏡の下から出てきたのは、先輩そっくりのイケメンだった。違いは目元ぐらい。先輩はきりっとした目つきだけど、このイケメンは目じりがゆるやかで、すごく優しそうな印象だ。それ以外は、面影がとってもよく似てる。……ってことは。
朋也
すまないね、怖がらせてしまって。これは弟の隆二だよ
果南
えっ!?
 やっぱりか!
朋也
君は一年二組だろう。ってことは同じクラスだね
果南
えっ、でもこんな子クラスには……
朋也
保健室登校の子が一人、クラスにいないかい? お恥ずかしながら、それがこの隆二でね
果南
あっ、あー、いたような気が
隆二
……
 不審者改め隆二くんは、さっきから目線をそらしている。まあ、そりゃあ居心地悪いだろうな。
朋也
それで? なんで上田さんを追いかけまわしていたのかな?
隆二
っ、いや、その、
 隆二くんはパーカーのポケットに手を入れると、何やら私に差し出してきた。
隆二
こ、これ……
朋也
生徒手帳?
果南
えっ嘘、私の!?
 慌てて鞄を漁ってみたけど、ない。どこかで落としていたらしい。
果南
ありがとう
朋也
何だ、いいことをしたんじゃないか。もっと胸を張っていいんだよ。ストーカーのような真似をせずとも、堂々と渡せばよかったのに
隆二
む、無理だよ……
朋也
相変わらずだねお前も。……本当にすまないね上田さん。隆二は女性が苦手でね。外出の時はいつもこうやって隠しているんだ
果南
そ、そうなんですか……
 何があったんだろう。気になるけど、たぶん聞いちゃいけないやつだ、これ。
朋也
ああ、そうだ
 突如先輩が声を上げた。
朋也
上田さん、お願いがあるんだけど
果南
はい?
朋也
隆二の友達になってやってくれないか?
隆二
はあ!?
 急な申し出に、私は言葉が出てこなかった。びっくりしすぎて。
朋也
同じクラスの子なら、まだ馴染みやすいと思うんだ。このままだと隆二の将来が心配でね
果南
ま、まあ私は構いませんけど……
 隆二くんの方は大丈夫なのかな。
隆二
兄さん、あんたいつもそうやって……!
朋也
お前のためにしていることなんだけどね? 俺の弟なんだから、お前だって出来がいいに決まってる。それが評価されないのは不服なんだよ
 ……これ、隆二くんが保健室登校になったの、女嫌いが原因だけじゃないのかもしれない。
朋也
何も付き合えなんて言ってるわけじゃない。けれどせめて、日常会話くらいは出来て欲しいんだよ。兄としてそう願うのはおかしいことなのかな?
 隆二くんは黙ったままだ。お兄さんの言ってることは間違ってないと私も思う。けど、何かしらで葛藤してるんだろうな。
隆二
……好きにしろ
 だいぶ経ってから、隆二くんは小さく呟いた。
朋也
うん、そうさせてもらうよ。まずは連絡先の交換からだね。……と言ってもお前は交換し無さそうだね。俺から送っておこう。上田さん、教えてもらえるかい?
果南
は、はいっ!
 ……で、あれよあれよという間に先輩と連絡先を交換して、先輩から隆二くんの連絡先が送信されてきた。あの、これ、合法的に先輩の連絡先もゲットしちゃったんだけど、私本当にファンクラブのお姉さま方に殺されない?
朋也
よし、万事解決だ。これで交番に用は無くなったね
果南
はい。あの、本当にありがとうございました
朋也
いいんだよ。むしろ悪かったのはこちらの方だ。ほら隆二、お前は当事者なんだから、謝りなさい
隆二
……ごめんなさい
果南
あ、あんまり気にしないで。それより、これからよろしくね?
隆二
……
 あ、そっぽ向いた。
朋也
全くもう。……では上田さん、気を付けて帰るんだよ
果南
はい!
 そう言って、先輩は自転車の足をたたみ、隆二くんを連れて帰っていった。
 何だか疲れたけど、そんなに大事にはならなかったし、イケメン兄弟の連絡先もゲットできたし、まあ良しとしよう。
 私は家に帰るべく、駅に向かったのだった。

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瑞浪レオナ
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